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子どもの自殺を何としても防ぐ〜支援現場からの「怒りの提言」

「子ども目線」にたたない政策で、苦しむ子をなくすために

大空幸星 NPO法人あなたのいばしょ理事長・慶應義塾大学総合政策学部生

電話を使わない子どもに電話相談?

 ではなぜ、子どもの自殺だけが減らないのか。それは「子どもの目線」に立った政策や支援が展開されていないからだ。

 例えば、子どもの自殺を防ぐための相談窓口はいまだに電話相談が中心であるが、現代の子どもたちは電話を使用しない。総務省情報通信政策研究所が昨年9月に発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、13歳〜19歳の1日の平均利用時間として携帯電話3.3分、固定電話0.4分であるのに対し、SNSは64.1分だった。このように、友人との会話などの日常生活においても電話ではなくSNSを使用する現代の子どもたちが、深刻な悩みを電話で、しかも見知らぬ相手に打ち明けられるだろうか。

なぜチャット相談か拡大なぜチャット相談か

 こうした現状をふまえて、国としてもSNS相談を支援する動きはあるが、いまだに「子ども目線」に立っているとは言い難い。

 今月、内閣官房孤独・孤立対策室が、子どもを主な対象とした検索連動窓口案内の強化を実施した。これは、Yahoo!において「学校 行きたくない」などのキーワードを検索すると、文部科学省が設置した相談窓口の案内ページが表示されるというものだ。

苦しむ子どもたちに難解な言葉、使わないキーワード

 一見すると素晴らしい取り組みだが、実際に検索をしてみて、目を疑った。

差し替え前に表示されていた文部科学省のホームページ拡大差し替え前に表示されていた文部科学省のホームページ
 キーワードを入力して案内される文部科学省のページに表示があるのは、24時間子供SOSダイヤルの電話番号のみでSNS相談の案内は一切なかった。さらにページ内には、「指定都市教育委員会で」「原則として所在地の教育委員会の相談機関に接続」など子どもにとっては難解な言葉が並び、ルビも全く振られていなかった。

 加えて、相談窓口の案内ページが表示されるキーワードとして、先述した「学校 行きたくない」のほかにも「新学期 ゆううつ」など10程度のキーワードが選ばれているが、この選定基準が極めて不透明である。果たして子どもたちが「ゆううつ」などの言葉を使うだろうか。

 筆者が運営している「あなたのいばしょチャット相談」に寄せられた10代からの相談のうち、1万件をランダムに抽出し分析したところ、相談内頻出単語の上位50語に「ゆううつ(※憂鬱、憂うつを含む)」は

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筆者

大空幸星

大空幸星(おおぞら こうき) NPO法人あなたのいばしょ理事長・慶應義塾大学総合政策学部生

1998年、愛媛県松山市生まれ。「信頼できる人に気軽・簡単・確実にアクセスできる社会の実現」と「望まない孤独の根絶」を目的に、あなたのいばしょを設立。孤独対策、若者の社会参画をテーマに活動している。

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