メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

トリチウムと水の理科・社会 【中】

トリチウムが分離できないのは、「水そのもの」だから

児玉一八 核・エネルギー問題情報センター理事

汚染水中の放射性核種の除去とトリチウム

汚染水からの放射性核種の分離

 建屋地下などの汚染水は、セシウム吸着装置(KURIONとSARRY)で放射性セシウム濃度を5万分の1ほどに下げてから、淡水化装置で淡水と処理水(濃縮塩水)に分離される。淡水は1~3号機の注水冷却に使われ、処理水は多核種除去設備(ALPS)でトリチウム以外の62種類の放射性物質を除去して、排水の法定濃度(告示濃度比総和1)以下にする。ALPSは2013年3月に供用が開始されたが、その後、いくつかの放射性核種(ヨウ素129,ルテニウム106,アンチモン125)で除去性能の不足が認められたため、吸着塔の増塔、吸着材の変更などが行われた(増設ALPS、2014年9月供用)。また、ストロンチウム90の除去性能が時間の経過にともなって低下したため、pH調整等の処理プロセスの改善を行った高性能ALPSの供用が2014年に開始された。

拡大汚染水からストロンチウムなどの放射性物質を除去する改良型の多核種除去設備ALPS=2014年10月16日、福島県大熊町

 汚染水からの放射性核種の分離は、以下のような分析化学的方法を用いて行われ

・・・ログインして読む
(残り:約3281文字/本文:約5900文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

児玉一八

児玉一八(こだま・かずや) 核・エネルギー問題情報センター理事

1960年福井県武生市生まれ。1978年武生高校理数科卒業。1980年金沢大学理学部化学科在学中に第1種放射線取扱主任者免状を取得。1984年金沢大学大学院理学研究科修士課程修了、1988年金沢大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士、理学修士。専攻は生物化学、分子生物学。現在、核・エネルギー問題情報センター理事、原発問題住民運動全国連絡センター代表委員。著書:単著は『活断層上の欠陥原子炉 志賀原発―はたして福島の事故は特別か』(東洋書店)、『身近にあふれる「放射線」が3時間でわかる本』(明日香出版社)、共著は『放射線被曝の理科・社会―四年目の「福島の真実」』(かもがわ出版)、『しあわせになるための「福島差別」論』(同)、『福島第一原発事故10年の再検証』(あけび書房)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

児玉一八の記事

もっと見る