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世論の多数派はすでに「選択的夫婦別姓」に賛成 日本

法が、世の中の変化に追いついていない

樋口大二 朝日新聞記者

別姓・事実婚家庭に生まれた子どもの姓は

 私は別姓のまま事実婚歴32年になる。妻も私も別姓を望んだが、まず妻が妻側の姓に特別のこだわりがあったわけではない。詳しい事情は書けないが、少々複雑な環境があって、妻は妻の母とも姉とも別々の姓を名乗っていて(父とはすでに死別)、自身の姓にそれほど愛着はなかったという。その姓に仕事上のアイデンティティがあったわけでもない。それでも妻の姓は彼女にとって、生まれついての自分の名前だ。法律婚をして妻を夫姓にするのは「妻を夫側の家に統合する」イメージがあって感覚的に厭だった。

 こちらが妻姓を名乗る選択肢もあったが、改姓はやはりめんどくさい。とりあえず「事実婚・別姓」でやってみて、よほど不都合があったらそれから法律婚をしてもよい。それにいずれそのうち別姓婚も法制化されるだろうし・・・。その程度のスタンスで始めてみたが、結果的に30年以上、婚姻届を出さなければならないような必要性は生まれなかった。一方、30年以上も夫婦別姓が実現しないというのは予想を超えていた。

 改姓が「めんどくさい」から、というのはなんだかケシカラン理由のようにも見えるが、結婚改姓にかかわる諸々のめんどうくささは、多くの場合、女性が一方的に負担している。そんなことは大したことではないと思っている男性は、率先して自ら改姓すればよいのである。夫婦別姓についてしばしばきかれる「誤解」は、「旧姓での業績がある研究者とか、特別な事情のある女の人の話でしょう」というものだが、大方の男性は特別な事情などなくても改姓しないまま結婚している。「特別な事情」のない女性も同じようにふるまえないのは、不合理ではないか。

 さて事実婚というと、夫婦二人だけの問題にとどまらない。子どもが誕生した場合、どうする

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筆者

樋口大二

樋口大二(ひぐち・だいじ) 朝日新聞記者

1965年宮城県生まれ。1990年入社。図書編集室、教育ジュニア編集部、金沢総局、文化くらし報道部などに勤務。現在はオピニオン編集部所属。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです