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東京オリンピックに一般のアメリカ人の関心が悲しいほど低い理由 

「オリンピック? いつなの? 東京だっけ? 夏の? 冬の?」

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 東京オリンピックの開催日を2カ月後に控えた現在だが、どこからも明るいニュースは聞こえてこない。

 長年シカゴ・トリビューン紙のスポーツコラムニストを務めてきたフィル・ハーシュ氏は、5月13日付のオピニオン欄に「COVID-19のパンデミック中に東京夏季五輪を開催することは、IOCの傲慢の象徴」というタイトルの、厳しい意見を発表した。

 40年の記者生活で19回のオリンピックを取材してきた同氏は、五輪がどれほど特別な祭典なのか熟知し、肌身で実感してきた。その彼が、過去4年間の人生をこのオリンピックに捧げてきたアスリートのことを思うと心を引き裂かれるとしながらも、「現状での東京オリンピック決行は、悪魔との取引も同然」と言い切る。

 その他にもABC、CBS、ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズなど、多くの米国大手メディアは、開催に対する疑念の声を続々と報道し続けている。

 メディアが報道する識者たちの意見は開催反対一色だが、米国の一般人の東京オリンピックに対する意識はどのようなものなのだろう。

人出が徐々に戻ってきた=2021年4月5日拡大多くのアメリカ人にとっては東京五輪に対する関心は低い=2021年4月5日、ニューヨークの繁華街タイムズスクエア

 東京オリンピックのボランティアに申請したというニューヨーク在住の20代の女性、オージュさんは筆者にこう語った。

 「結論を先に言えば、東京オリンピックは、出場するアスリートたちが希望するのなら、開催されるべきだと思います。とはいえ、私自身がボランティアとしてパンデミック中に東京に行くだろうかと聞かれたら、考えてしまいます(彼女の申請は受理されなかった)。東京、そして次のオリンピックの受け入れ国側が、どのような方法でアスリートや関係者、ボランティア、そして国民の身の安全を守るつもりなのか。成功すれば、世界中がそれを見習うでしょう。世界中の目が、今、東京に集まっています」

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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