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早いワクチン接種完了にこそ、堅牢なシステムが必要だ

大規模接種センター予約サイトの欠陥はなぜ報道されるべきなのか

赤木智弘 フリーライター

今回の報道は必要だった

 しかしこのような体たらくでもネットには政権擁護的な意見が根強く存在する。そうした意見の大半はマスコミ憎しのお話にならないレベルなのだが、考える必要性がある意見がないわけでもない。例として上げるならば佐々木俊尚氏の以下のツイートだろう。

そもそも今回の問題で行うべき議論の主軸は、「拙速でもいいからワクチン接種を急ぐか」「時間をかけても堅牢な予約システムを作る方がいいのか」のどちらを選ぶのかということであるべきでしょう。わたしは前者だと思いますが、どこでバランスを取るかは人によって違う。そこに議論の余地がある。
しかしAERAや毎日の今回の報道には、そういう「どこでバランスを取るのか」論点がまったく見えてきません。批判のための批判でしかなく、ワクチン接種をどう迅速に進めればいいのかという論点さえ存在しません。残念です。

 この種の「拙速でもワクチン接種を急ぐか、時間をかけても云々」というのは、市長などが医療従事者に準ずるとしたり、また余ったワクチンを優先的に接種したりした問題でも盛んに主張されている。そして彼らの結論は「ワクチン接種を急ぐのだから、マスコミは文句を言うな!」というところに着地する。

 だが、少なくとも今回のAERAdot.や毎日新聞の報道が必要であったかといえば、僕は

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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