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[53]雨宮処凛さんと語る「コロナ禍の生活苦と住まいの貧困」~野戦病院の現場から

底が抜け続ける社会で求められる政策とは

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

外国籍の人々への生活と住居の保障を

稲葉 「ゴールデンウィーク大人食堂」には、ナイジェリア、エチオピア、カメルーン、ミャンマーなど、外国籍の方もたくさん来られていました。そのほとんどは難民申請中で、入管の収容施設から仮放免されている方も多かったのですが、就労ができる在留資格がなく、生活保護も使えないために食べ物にも事欠く生活をされている方が多かったです。先日、入管法の改悪案が見送られたのは良かったですが、こうした外国人の生活や住居の保障をどうするか、というのは大きな課題としてあります。

 私が代表を務める「つくろい東京ファンド」では、昨年春以降、アパートの空き室を活用した個室シェルターを増設していて、現在、都内で59室を運用しています。シェルターは10代から70代の方に利用していただいているのですが、外国籍の方も何人も入っていらっしゃいます。最近は、軍事クーデターのあったミャンマーの方からの相談が増えています。

 ある外国人の方は、長年、住んでいたアパートの家賃が払えなくなって、住居確保給付金の窓口に相談に行ったそうですが、資格がないと言われてしまいました。住居確保給付金は期間限定で家賃を補助してくれる仕組みですが、その期間内に就労自立をめざすことが前提となっているので、難民申請中で就労の資格のない人は使えないと言われたそうです。

雨宮 去年の春、コロナ禍を受けてドイツでは「家賃を滞納しても大家が追い出してはいけない」というルールができたという話を聞いたのですが、シンプルでとても良いですよね。「家賃を滞納しても、とりあえず追い出されない」という安心感があると、本人も精神的に楽だと思います。日本ではなぜ、「今いるところにいられる」というシンプルな対策が進まないのでしょうか。

拡大会場の出入り口に掲げられた「年越し支援・コロナ被害相談村」の幕。「食べ物、カウンセリング、医者、弁護士」と英語で書かれた案内も張り出された=2021年1月2日、東京都新宿区の区立大久保公園

貧困対策は自立を。まず「住まいの安定」から

稲葉 住居確保給付金は、リーマンショックの後にできた住宅手当がもとになっていますが、住宅支援というより再就職支援という性格が強い制度だと思います。「次の仕事が見つかるまでの間、期間限定で家賃を補助しますよ」という発想ですね。でも、実際は仕事を探そうにもコロナで仕事自体がないという状態です。

 私は貧困対策が労働市場に依存し過ぎているのが問題だと思っています。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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