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#オリンピックはうちで 今こそ世界一コンパクトな五輪を実現しよう

「極力、人を集めない」が最低限の筋だ

赤木智弘 フリーライター

 オリンピック開催直前の現段階で、東京の新規感染者は500人を切らない程度の人数で下げ止まっており、まだ爆発的な感染増大の可能性を残している。

 そんな中で神奈川県の黒岩知事は6月28〜30日に行われる聖火リレーを「できる限り公道で行いたい」とした(カナロコ2021年5月26日)。中でも30日に川崎市で行われる聖火リレーを行う事は26日の市議会文教委員会で報告しており、聖火リレーを走らせる気満々である。

 一方で千葉県の熊谷知事は、7月1〜3日に行われる予定だった千葉県内全区間での聖火リレーの中止を決めた。首都圏での聖火リレーの全面中止は初めての判断ということだ(朝日新聞デジタル2021年5月27日)。

 同じ南関東で判断が分かれた聖火リレーの実施だが、僕は千葉県の聖火リレーを中止する判断の方が妥当であると考える。

 理由は言わずもがなで、東京を含む関東地方での新型コロナ新規感染者数は、高い数字で下げ止まっており、またいつ爆発的に新規感染者数が増えてもおかしくない状況にある。そうした中で余計なリスクを生むような行為は控えるべきだという、当然の考えである。

オリンピックで「人を集めたい」のか

五輪のイベント会場設営のための立ち入り禁止のお知らせが掲示された都立代々木公園=2021年5月24日、東京都渋谷区

 東京でもおかしな動きがある。

 東京都は代々木公園や井の頭公園に「東京2020ライブサイト」と称して、大規模なパブリックビューイングをおこなおうとしているのである。Twitterなどでは「代々木公園の木が伐採されるのでは?」と騒がれていたが、東京都議会議員、龍円あいり氏の報告によると、ライブサイト実施のために伐採された木は1本もなく、ごく一部の木の剪定で済んだという(龍円あいりブログ)。

 また当初の予定こそ一日当たり、代々木公園が35,000人、井の頭公園で20,000人の来場を見込んでいたようだが、現在は予約制で人数を制限して実施される予定だという。ただし、飲食提供に「アルコール提供を含む」ことが明らかになるなど、今なお現状にはそぐわない、ちぐはぐな部分も残っており、注視していく必要がある。

 他にも、無観客も止むなしというこの状況下で、小中学生らを観客として動員しようとしたり、ともすれば今からでも観客ありにしようとする動きもあり、どうしても行政はこのオリンピックで「人を集める」ということをしたいようである。

 正直、理解できない。

最低限の筋は開催規模の縮小

 多くのお店が夜の営業を自粛し、人々もなるべく他人との接触機会を減らし、一刻も早く新型コロナを克服しようとしているのに、オリンピック関連行事だけが当たり前のような顔をして、ほんのわずかな修正だけで大々的に実施されるというのは、1年以上自粛を前提に生活してきた普通の人たちから見て、明確におかしいとしか言いようがない。

 オリンピック実施の言い訳として「コロナ禍で分断された日本人の絆を取り戻す」とか「選手が賢明に努力をする姿を見ることで、日本人に勇気を与える」などと主張する人がいる。

 しかし、日本人の絆が分断されたのはコロナのせいではない。多くの一般市民たちの努力をあざ笑うかのように、オリンピック関連事業を推し進める人たちに分断の責任はないのだろうか?

 また、選手が賢明に努力する姿を見るのはいいが、そのために聖火リレーやスポンサーのパレード。そしてパブリックビューイングは本当に必要だろうか?

 仮に僕がどうしてもオリンピックを開催したい側の人間だとして、そのためにするべきだと考えるのは「オリンピックの

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