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非正規のエッセンシャルワーカーにもワクチンを

官房長官が本当は会見で口にすべきだったこと

赤木智弘 フリーライター

 6月1日の記者会見で加藤勝信官房長官が、新型コロナウイルスのワクチン接種に対し、今月21日から職場や大学などでの接種を始める方針を明らかにした。また2日には河野ワクチン担当相が「従業員1000人以上の大企業でスタートしたい」と述べた。

 現在、1000人以上の事業所には1人以上の専属の産業医を置くことが義務づけられている。つまり、ワクチンを産業医に流すことで、迅速な接種を進めようとしているわけである。それについては僕は正しいやり方であると考える。

せめて建前だけでも言えなかったのか

拡大加藤勝信官房長官

 ただ、加藤官房長官の発言の中に、僕にはちょっと看過できないものがあった。それは、

 「企業での接種で従業員の家族を対象とすることは十分あり得る。非正規で働く人やアルバイトを接種対象とするかどうかはそれぞれの主体で判断してもらいたい。」

 という内容の発言である。

 言いたいことは当然「非正規やアルバイトを後回しにするな!」ということではあるのだが、多くの企業で非正規やアルバイトなどに対し、積極的にワクチン接種をするかと言えば、そうとは思えない。どうせ加藤官房長官が何を言おうと非正規やアルバイトは良くても後回し、悪ければ無視されるであることとは目に見えている。そんなことは百も承知である。

 しかし、だからこそせめて建前だけでも「パート労働者やアルバイトに対しても積極的にワクチン接種を推進していただきたい」とか「ワクチンの早期接種のために、正規と非正規を区別するべきではない」くらいのことを言うべきであろう。せめてそのくらいの建前は口にしてほしかった。

 しかし、加藤官房長官はそのようなことは言わずに、正社員のみならず正社員の家族などに対する接種を「十分あり得る」と、いわば推奨した一方で、非正規に対しては「それぞれの主体で判断してもらいたい」と、企業がどう対応しようと構わない、いわば「非正規? 知らないよ。企業が打ちたいなら打ってもいいよ」くらいにしか扱っていないのである。

 加藤官房長官にとっては、もはやその程度の建前を述べる必要もないほどに、非正規労働者の存在は軽いのだ。僕はそのことに腹を立てているのである。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

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