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崩壊を始めたIOC、「五輪」というビジネスモデルはもう破綻した

「貴族」優遇の陰で犠牲になる選手、ボランティア、そして日本の納税者

小田光康 明治大学ソーシャル・コミュニケーション研究所所長

予算「7340億円」の無理筋は、IOCと開催都市の共謀

 「オリンピックというビジネスはもう持たない。失うものがあまりに大きすぎる」。フーラ編集長が筆者にこう語ったのは今から7年半前の2013年9月、2020年夏季五輪が東京に決まったときのことだ。開催予算7340億円、8月開催。都の立候補ファイルに明記されたこれら2つの数字を見て、オリンピックを見限った。

 五輪開催費用については組織委に批判が集まりがちだ。これに関してIOCは他人事といった風情、いや時に組織委を批判もする。だが、その責任は当然IOCにもある。これまでの開催経緯から、IOC委員ならば誰もがこの程度の費用で開催できるとは信じていない。しかも、当初予算が雪だるま式に膨れ上がり、結果的にその数倍にまで達することは百も承知だ。

 また、選手出身のIOC委員ならば、8月の東京の猛暑と高い湿度が選手を命の危険にさらすことを熟知している。さらに、8月開催は米国放送局、NBCからの放映権料をつり上げるためだと分かっている。立候補ファイルの内容を鵜呑みにし、開催地を決定するIOCの評価委員などいるわけが無い。

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 つまり、オリンピックという茶番劇はIOCと開催都市の暗黙の了解による共謀から始まる。結局、東京五輪の開催費用は組織委予算だけで1兆6440億円、関連費用を合わせると3兆円を超えると言われる。

 このうち、IOCの負担分はたったの1410億円、割合にしてわずか8.5%だ。また、東京の酷暑が問題となり、マラソンと競歩の競技会場は札幌に変更された。この移転開催費用は100億円を超える。IOCのその負担分は20億円だけだ。

 民間企業でこんなずさんな予算管理と運営計画をしていたら、経営責任を問われて然るべきだ。だが、IOCも組織委も馬耳東風というさまだ。このつけは、大会後に税金というかたちで国民に回ってくる。

民間団体のIOCは、開催地の問題など眼中にない

 IOCの不正腐敗や傍若無人はこれまで散々論じられてきた。ここで、これらを生み出すIOCの構造的な特徴を見てみよう。

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筆者

小田光康

小田光康(おだ・みつやす) 明治大学ソーシャル・コミュニケーション研究所所長

1964年、東京生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部准教授。米ジョージア州立大学経営大学院修士課程修了、東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。専門はジャーナリズム教育論・メディア経営論・大学経営政策論。現在、タイ北部山岳少数民族に向けた感染症予防メディア教育開発、及び貧困農村経済開発対策のプロジェクトに携わる。米Deloitte & Touche、米Bloomberg News、ライブドアPJニュースなどを経て現職。米五輪専門メディアATR日本代表、東京農工大学国際家畜感染症センター参与研究員などを兼任。日本国内の会計不正事件の英文連載記事”Tainted Ledgers”で米New York州公認会計士協会賞とSilurian協会賞を受賞。著書に『スポーツ・ジャーナリストの仕事』(出版文化社)、『パブリック・ジャーナリスト宣言。』(朝日新聞社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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