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【49】大阪府北部の地震から3年、教訓を首都直下地震対策に活かしたい

福和伸夫 名古屋大学減災連携研究センター教授

高層化によるエレベーター閉じ込めは大都市の深刻な課題

 人口が集中すると、土地の高度利用が進み、建物が高層化する。このため、大都市には多数のエレベーターがある。大阪府と島根県のエレベーターの保守台数は77,876基と2,183基と、36倍も異なる(2019年3月末時点)。大阪府北部の地震では、6万6千基ものエレベーターが緊急停止し、339件の閉じ込めがあった。エレベーターの故障も約800台あった。閉じ込め件数の約半数の155件は、地震時管制運転装置が設置されたエレベーターだった。

 P波検知から主要動到達までの猶予時間が少ない直下地震では、最寄りの階に到達する前にエレベーターが緊急停止し、閉じ込めが起きる。交通渋滞などのため、地震後の救出には、通報後、最大約320分、平均80分を要したという。

 ちなみに、最大震度7の揺れだった東日本大震災での閉じ込めは210件、熊本地震では54件、北海道胆振東部地震では23件だった。通勤時間帯だったこともあるが、遥かに揺れが小さかったのに多数の閉じ込めが発生したことは、大都市故の問題で

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筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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