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性交同意年齢の引き上げは、本当に子供のためなのか?

性的自己決定権は軽視できない

赤木智弘 フリーライター

 立憲民主党の性犯罪刑法改正のワーキングチームの中で、本多平直衆院議員が「50歳が14歳と同意性交で捕まるのはおかしい」と発言した問題。本多氏は「興奮していたので覚えていない。本意ではない」として撤回を申し入れたという。

 それにしても言い訳が酷い。

 議員も「子供の自己決定権との兼ね合いもあることから、ブレストとして一例を提示し、理解を深めようと考えた」とでも言えばいいものを「興奮していたので覚えていない」では話にならない。むしろ「14歳に興奮したロリコン議員」というレッテルを自ら貼られに行っているとしか思えないのである。

 さて、残念な議員は放っておいて、こちらではこの話をもう少し真面目に考えてみるとしよう。

6月7日に開かれた立憲民主党の「性犯罪刑法改正に関するワーキングチーム」。この日の会合に本多平直衆院議員は出席しなかった=国会内

明治時代に制定された日本の「性交同意年齢」

 まず、ワーキングチームで話し合われていた、性交同意年齢とはなんだろうか? 性交同意年齢とは、性交等をする際に「同意」が有効となる年齢のことである。日本では刑法177条が根拠となる。

第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 つまり、13歳以上に対しては同意を得れば性交等をしても刑法177条にはあたらないが、13歳未満に対して性交等を行えば、たとえ本人の同意を得ていようと無効であり「強制性交等罪」にあたるのである。

 ところで「強制性交等罪」というのはちょっと聞き慣れない人がいるかもしれない。刑法177条はかつては「強姦罪」と呼ばれていたが、強姦の条文では「女子を姦淫」として被害者が女性限定にされていたり、性交は強姦であっても、肛門や口腔へに対する姦淫は強姦ではないなどの問題があったことから、2017年に強制性交等罪として新たな刑法177条になったのである。

 で、この「13歳」というのが、日本の性交同意年齢である。

 この13歳という年齢は、明治時代に制定された年齢である。世界を見ると先進国では15〜17歳と定められていることが多いようで、長らく日本と同じ13歳だった韓国も、2020年に16歳に引き上げている。そうしたことから、日本でも古い規定を見直し、世界に合わせた形での性交同意年齢の引き上げが必要だと議論はずっと行われてきている。

 特に、大人による子供に対する性的搾取を強く問題視する人たちからは、引き上げの声が強く寄せられている。そうした声をくみ上げるために、このワーキングチームも開催されているのだろう。

 では、ワーキングチームの中での本多議員の言葉は、本当にまったく的を射ていないおかしな発言だったのだろうか? 確かに50歳の男性が14歳の女性と真剣に恋愛するというのは、あまり考えられないし変態臭しかしない。少なくとも、男女のどちらかを「大人」として考えればいずれも的外れになるのは道理だろう。

14歳同士のカップルの性交はどうなる?

 さてここで、男性の年齢を大きく引き下げて「14歳同士の恋愛」だと考えてみたらどうだろうか? 14歳同士が将来の結婚を誓い合い、付き合いの中で性交を行った。これならどうだろう

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