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フジテレビ月9で新境地開いた「イチケイのカラス」 刑事裁判描く異色作

型破り裁判官の正義感に視聴者溜飲/決め台詞「職権発動」は時代劇を彷ふつ

川本裕司 朝日新聞記者

拡大フジテレビの2021年4月期「月9」ドラマ「イチケイのカラス」(番組公式HPから)
 フジテレビの看板ドラマ枠の「月9」で4月から放送されている「イチケイのカラス」が新境地を開いている。「月9」は、恋愛もの路線で一時は袋小路に陥っていたが、今回は裁判官が主人公という異色の分野。視聴者の願望に応える「ファンタジー」の要素と、山場で決め台詞が必ず登場する「時代劇」のパターンを結合させたのがはまった。

常識離れの訴訟指揮。同僚巻き込み真実究明

 舞台は東京地裁第3支部第1刑事部、通称イチケイの法廷だ。弁護士として担当した殺人事件で冤罪を主張しながら無期懲役判決となり裁判官に転身した入間みちお(竹野内豊)が主人公。東大卒でエリートコースの民事希望の坂間千鶴(黒木華)、無罪判決を数多く出してきた部長裁判官の駒沢義男(小日向文世)という同僚とともに、様々な事件の解明に向け独自の訴訟指揮をする姿が描かれる。

拡大刑事裁判官の入間みちおは「職権発動」と法廷で宣言し、自ら足を運んで事件の現場検証を行う(番組公式HPから)
拡大竹野内豊が演じる入間みちお(中央)、黒木華が演じる坂間千鶴(右)、小日向文世が演じる駒沢義男(番組公式HPから)

 入間は裁判の過程でかすかでも疑問を抱くとやり過ごすことなく、真実の究明に乗り出す。毎回、「職権を発動します。裁判所主導で捜査を行います」と法廷で宣言。事件現場で検証したり関係者に聴取したりして、隠されていた事実を発見、想定されていなかった判決を導いていく。入間の常識外れのふるまいを敬遠していた坂間が徐々に変化していく。

最高裁判事を法廷に呼び対決

拡大最高裁判事の日高亜紀(草刈民代)を証人として法廷に呼んだ第7話(番組公式HPから)
 これまでのクライマックスは第7話(5月17日)の「司法VS型破り裁判官 決戦のとき」だった。入間は、かつて弁護士として担当した殺人事件の再審裁判で、原審で無期懲役を言い渡し最高裁長官に内定している最高裁判事の日高亜紀(草刈民代)を証人に呼ぶ。入間の「上に忖度して判決を下していないか」という質問に日高は「正しい判決を下した」と法廷で主張した。

 しかし、その後、検察首脳の次長検事から聞いた「真犯人は国税庁OB」という話を録音し、記者会見で告発。そして、日高は最高裁長官の座を辞退する。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞記者

朝日新聞記者。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを歴任。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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