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【4】史料の誤読やいい加減な扱いの多さ

「一朝鮮人」が書いた文書を日本政府の公文書として紹介

加藤直樹 ノンフィクション作家

「井戸に毒を入れた」目撃証言は皆無

 「人口動態や政治状況から見て」、流言が伝えているような朝鮮人の重大犯罪が「全くの作り話だとは考え難い」と断言するラムザイヤーに対する返答は、以上で尽きているだろう。

 朝鮮人の暴動、放火、強盗、強姦、井戸への投毒といった流言が結局、事実ではなかったとする公文書や要人の証言はいくらでも存在する。また、それらの流言の空想性や荒唐無稽さを伝える証言も無数にある。一方、朝鮮人の暴動、放火、強盗、強姦、井戸への投毒を「この目で見た」という確かな証言は全く残っていない。

 さらに、流言を信じた人々が

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筆者

加藤直樹

加藤直樹(かとう・なおき) ノンフィクション作家

1967年、東京生まれ。出版社勤務を経てフリーランスに。著書に『九月、東京の路上で――1923年関東大震災ジェノサイドの残響』(ころから)、『NOヘイト!――出版の製造者責任を考える』、『さらば、ヘイト本!――嫌韓反中本ブームの裏側』(ともに共著、ころから)、『戦争思想2015』(共著、河出書房新社)、最新刊に『謀叛の児――宮崎滔天の「世界革命」』(河出書房新社)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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