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[54]外国人を医療や福祉から排除する日本の公的制度~コロナ禍で困窮に拍車

外国人住民は社会を共に作る欠かせない仲間。尊重される世の中に

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

国の政策は「間接的な殺人行為」。まず生活保護の適用を

 だが、この記者会見への反響は、好意的なものだけではなかったそうだ。

拡大   大澤優真さん
 大澤さんによると、「国に帰ればいい」、「国に帰るための寄付を集めればよい」、「日本人も苦しいのに」という反応も少なからずあったという。こういった反応を支援者である大澤さんはどう捉えているのだろうか。

 「外国人はその所属する国があるから、その国が支援すべきだというのは、筋が通っているように聞こえますが、実際には国民国家の狭間で、どこからも支援を得られない人がいます。そういう人に『国に帰れ』という言葉を投げつけても問題は解決しません」

 「今の日本社会で、多くの外国人はお客さん、『客体』ではなくて、『主体』になっています。都会に住んでいると、コンビニや牛丼店などで働く外国人を見かけないことはなくなりましたし、地方でも農作物やタオルの生産に外国人は欠かせません。外国人を一緒に日本を作っていく『主体』だと捉えれば、日本とつながりのある人の処遇もおのずとポジティブに考えていかれるのではないでしょうか」

 では、外国人の医療や生活の保障はどのように実現すればよいのだろうか。

 「一番良いのは生活保護の適用です。厚生労働省は、在留資格で生活保護を準用できるかどうか、分けています。このこと自体、再考する必要がありますが、さしあたりは『国に帰れない事情のある人』も生活保護の対象にすべきだと思います。また、さしあたり、無料低額診療事業への財政支援を強化することも必要です」

 大澤さんは、在留資格のない外国人の就労を認めず、生活保護も認めない国の政策を「間接的な殺人行為」と批判していた。この言葉を重く受け止めたい。

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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