北野隆一(きたの・りゅういち) 朝日新聞編集委員
1967年生まれ。北朝鮮拉致問題やハンセン病、水俣病、皇室などを取材。新潟、宮崎・延岡、北九州、熊本に赴任し、東京社会部デスクを経験。単著に『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』。共著に『私たちは学術会議の任命拒否問題に抗議する』『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』『祈りの旅 天皇皇后、被災地への想い』『徹底検証 日本の右傾化』など。【ツイッター】@R_KitanoR
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
憲法問題とともに、考えるべきもうひとつのこと
宮内庁で天皇陛下の意向を日常的に直接聞く立場にいるのは、「オモテ」と呼ばれる事務方のトップの長官と、「オク」と呼ばれる、天皇皇后両陛下の身の回りの世話をする侍従職トップの侍従長の2人だけだ。天皇陛下の記者会見は毎年2月23日の誕生日前に行われるほかは、外国訪問の前にあるかどうかといったところだ。侍従長は記者会見をしない。宮内庁詰めの記者たちにとって、天皇の言葉を直接聞く立場にいる長官の定例記者会見は、こういうときとても貴重な機会となる。
しかも、西村氏はもともと、安倍政権の官邸中枢から送り込まれたという経緯がある。
2016年7月13日、天皇在位中だったいまの上皇さまによる退位の意向がNHKのスクープとして報じられると、安倍政権は2カ月後、警察官僚で内閣危機管理監だった西村氏を宮内庁