メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

僕たちはいつになったらワクチンを接種できるのだろうか

拙速でもなく巧遅でもなく、ただ単に「稚拙で遅い」国の対策

赤木智弘 フリーライター

 新型コロナ対策の切り札であるワクチン。ようやくワクチン接種券が僕の手元にも来た。

 僕の暮らす自治体では年齢別に予約開始期間が区切られていて、僕は7月12日から予約を受け付けてもらえる。せっかくなので、できるだけ早めに打ってもらいたいと考えている。しかし、ここに来てどうもきな臭い空気が漂ってきた。

 どうやら日本国内のワクチンが足りない事態になっているようなのである。

エッセンシャルワーカーも後回し

拡大新型コロナウイルスのワクチンを接種した河野太郎行政改革担当相(左)=2021年6月21日、東京都千代田区の旧文部省

 厚生労働省によると、7月19日から2週間分のワクチンについて、自治体側が希望する量の3割程度しか供給できない見通しだという。これにより、一部の自治体では1回目の予約の受付を停止して、すでに1回目を接種した人の2回目のワクチンを確保せざるを得なくなっている。

 またすでに大規模接種センターや職域接種なども新規の受付は停止されており、ようやく手元に回ってきた接種券もまったく生かすことができていない。

 そもそも、ワクチンが足りなくなるのは当たり前である。まず、職域接種が問題だ。

 職域接種については企業の社員はもちろん、下請け企業や取引先、さらには田村厚労相が「従業員の家族なども接種対象に」などと話していたこともあり、一部の企業が社員の枠を大幅に越えた過剰なワクチンを要求することは十分に想定できたはずだ。

 実際、大手企業は職域接種の開始をプレスリリースとして広報することで、自社の福利厚生の宣伝に利用しており、政府は体よく利用された形になる。

 さらに言えば企業に接種を任せたことにより、当然「偉い人順」にワクチン接種が進むことになり、本来必要であるはずのエッセンシャルワーカーに対するワクチン接種が後回しになってしまった。

 6月28日に河野ワクチン担当相は吉本興業東京本部を訪れ、職域接種の様子を視察。吉本の芸人と共に記者の取材に応じ、視察の理由について「若い方にメッセージを届かせることができる吉本の皆さんのお力を、ぜひお借りしたいと思ってきた」と述べた。

 わざわざ職域接種宣伝のためのパフォーマンスに河野大臣が利用したのが、エッセンシャルワーカーとはほど遠い位置にいる「お笑い芸人」だというのだから、最初から大企業に対してワクチンを融通することが目的であり、エッセンシャルワーカーの接種など考えていなかったことがよく分かる。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

赤木智弘の記事

もっと見る