スポーツの女性躍進が変化をもたらすか
2021年07月11日
7月6日、東京五輪に出場する日本選手の結団式が行われた。いつもならば、都内のホテルや競技場で一堂に会して行われる華やかなイベントだ。近年は一般のファンもスタンド席で見学し一体感を味わえる工夫をするなど、厳しい日々を過ごして代表になった選手たちにとっても、気持ちを高め、同時に他競技の選手とリラックスした時間を楽しむ機会でもある。
今年は、新型コロナウイルス感染拡大のために、限られた選手、関係者以外は自分の拠点からのオンライン結団式と様子が一変。ある選手は「半分の人数でもいい。結団式は五輪前に選手同士が交流し、ファンの姿を励みにする貴重な時間だから残念」と、寂しさを噛みしめながら画面を眺めていたという。
IOC(国際オリンピック委員会)は、この東京大会から、かねて推進してきたジェンダー平等の実現のために、参加する各国・地域に対して旗手は男女1人ずつが務めるようにルール変更に着手。地元開催となるJOC(日本オリンピック委員会)はこれに加え、夏季五輪では初めて「副主将」を置いて、男女が一緒に役職を担うようにした。
これまでは旗手1人、主将1人だったため、おおむね男女がどちらかでバランスを保った。今回は4人を、競技のスケジュールに合わせて、しかもメッセージ性を踏まえて同時に選出しなくてはならず、難しさもあったようだ。
旗手は、NBAで活躍中の八村塁(23=ウィザーズ)と、JOCが一貫教育で育成する「JOCエリートアカデミー」出身のレスリング金メダル候補、須崎優衣(21=早大)の若いコンビに。主将の山県亮太(29=セイコー)と、卓球の石川佳純(28=全農)のベテランコンビと、バランスが十分にうかがえる人選となった。山県と石川には開会式での選手宣誓の大任も待っている。
結団式での日本選手は582人と史上最多となり、前回の1964年東京五輪の355人を上回った。今回は、582人に監督やコーチらを加えた総勢1058人、女性比率は47.4%となった(五輪日本代表における女子比率がもっとも高かったのは、18年冬季平昌五輪で58.1%)。
IOCによれば、今回の東京大会は、世界の出場選手全体でも女性比率が過去最高となる48.8%にまで上がるという。
現在は盛んにジェンダー推進の旗振り役となったIOC、そして五輪という大会も、かつて1896年、第1回がアテネで開催された際は、男子のみの参加でスタート。2回目のパリ大会から女性参加が認められたが、全997人中、女性はわずか22人だから2.2%を起点に48.8%にまでたどり着いた、あるいはそこまでに120年を要したともいえる。
日本選手団で振り返ると、64年の東京は13.2%で、今大会の47.4%は当時、想像もつかなった数字だ
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