「孤立」が子どもや若者を苦しめる。だから私たちは「居場所」をつくる(下)
生きる意欲を探す場所、「たまり場」と「ルーム」
青砥 恭 NPO法人 さいたまユースサポートネット代表
ボランティアも利用者も、交流を楽しむ場に
さいたまユースがボランティア活動として運営する「たまり場」は利用者も小学生から30代後半にまで幅が広がり、毎週30~50人ほどの若者たちによる「たまり場コミュニティー」となって定着している。
「たまり場」のボランティアが学生中心であることはスタート時から変わらないが、70代の男性ボランティアのTさんが孫のような小学生と鬼ごっこをしたり、50代後半の大企業社員のMさんが若者と本気で将棋を指したり、60代後半のNさんが中学生や高校生たちと一緒に勉強したりと、ボランティアも利用者も人との交流を楽しむ場になっていることが実感できる。
なぜ、これほどの数の若者たちがこれらの居場所にやってくるのか
利用者と支援者、垣根をつくらない運営方針
ルームもたまり場も開設当初から、①利用者と支援者という垣根を作らないこと、②無料で利用できること、③イベントやプログラムは利用者の意見を取り入れて行うこと、④日々の活動でも、司会は利用者とスタッフが一緒に行うなど、利用者やスタッフの主体性を尊重する仕組みになっている。
ルームでは、⑤多くのプログラムやイベントが地域自治会との協同で行われている。地域の自治会に加入し、地域の清掃からお祭り、スポーツ大会まで参加し、ルームが開催するイベントにも地域住民が参加している。
日本社会で、生きにくさを抱えた人々が集う
さいたまユースが運営する居場所は、学校や家族の中で孤立し、仕事や学校で躓いた若者たちが利用している。中には精神疾患や障がいで悩んでいる若者も少なくない。
「学校は勉強ができるか、運動がうまい人のためにある」と話した「ルーム」に通う若者がいたが、この言葉を否定する説得力のある言葉を私たちはもっていない。
また「ぼくはみんなと違う。同じようには生きられない……」。この言葉も今の若者を象徴する言葉だ。多くの学校も職場も「みんな同じ
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