メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

8月6日の「原爆の日」に、五輪選手に黙とうを呼びかけることへの私の違和感

被爆者の体験を伝えてきた一人の人間として

乗松聡子 国際平和博物館ネットワーク共同コーディネーター

もう一つの五輪期間中の平和祈念、7.27を忘れていないか

原爆死没者慰霊碑に献花し、黙とうを捧げるIOCのトーマス・バッハ会長=2021年7月16日、広島市、代表撮影拡大原爆死没者慰霊碑に献花し、黙とうを捧げるIOCのトーマス・バッハ会長=2021年7月16日、広島市、代表撮影

 オリンピックには世界中から人が来ている。その中には自国民らが体験した日本軍の残虐行為の記憶を受け継いでいる人たちがたくさんいるはずだ。その人たちに対して、広島・長崎だけについて一斉の黙とうを求めることはできないのではないかと私は思う。

 期間中といえば、たとえば、7月27日は、日本の植民地支配を経て分断された末、何百万もの朝鮮半島の市民が無残に殺された朝鮮戦争の休戦協定調印68周年であったが、この日に黙とうしようという声は上がらなかった。ほとんどの日本人は忘れていたのではないか。

 これがもし、日本社会が総じて日本の加害の歴史に正面から向き合い、原爆についても、植民地支配の故に被爆させられた朝鮮人被爆者を決して忘れないという姿勢が定着していれば、黙とうの呼びかけの意味合いも変わってくるだろう。その場合は、日本側が呼びかけなくても日本を訪れる人々から自然にそのような動きが出てくるかもしれない。

「ドレスデン空爆の日に黙とうを」とドイツが求めたら

 しかし、日本の現実

・・・ログインして読む
(残り:約1859文字/本文:約3619文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

乗松聡子

乗松聡子(のりまつ・さとこ) 国際平和博物館ネットワーク共同コーディネーター

英文オンラインジャーナル The Asia-Pacific Journal: Japan Focusエディター。編著書に、『沖縄は孤立していない 世界から沖縄への声、声、声。』(金曜日、2018年)、ガバン・マコーマックとの共著 Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Rowman & Littlefield, 2018) など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです