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東京からパリへ 24年パリ五輪は東京から次世代へどう五輪をつなぐか

「お荷物」になるかの瀬戸際で変化に対応を

増島みどり スポーツライター

 東京の新型コロナウイルス感染症の新規感染者が、一日5000人を連続で超えた8月6日、東京五輪を取材する国内外の記者の拠点となるメインプレスセンター(有明ビッグサイト)では、早くも2024年パリ五輪組織委員会による記者会見が行われた。

パリ五輪の2枚看板が揃って会見

拡大記者会見後、ハイタッチを交わすパリ五輪のエスタンゲ組織委員長とパリのイタルゴ市長=2021年8月6日、東京都江東区

 閉会式では必ず実施される五輪旗の引継ぎ式(ハンドオーバーセレモニー)の準備とその一部を発表するための会見で、組織委員会のトニー・エスタンゲ会長(43)はポロシャツに白いスニーカー、パリのアンヌ・イタルゴ市長(62)は花柄のワンピースに、あえて会長と揃えたのだろうか、フランスブランドの白いフラットシューズで登壇。自然体、軽快さをアピールするパリ五輪の2枚看板は、壇上でフラッシュを浴びた。

 ハンドオーバーは、開催地から次回開催地へ五輪旗を手渡す通例の式典で、リオデジャネイロ五輪でも東京への引継ぎ式が行われ、当時の安倍晋三首相が「マリオ」に扮した演出で知られている。

 市長は「いよいよ五輪開催地としてスタートするこの日を待ち切れずワクワクしている」と話し、エスタンゲ会長は「かつてない演出で、パリ市民、フランス国民とこの歴史的な瞬間を共有したい」と、エッフェル塔に5000平方メートルもの巨大な旗を掲げる演出の一端を明かした。

 エスタンゲ会長は、カヌー競技で2000年シドニー五輪、アテネ、ロンドンで金メダルを獲得しているレジェンドの一人。陸上中距離の五輪金メダリストであり、世界的なスーパースターとして国内外の知名度と、リーダーシップを活かしてロンドンを成功させた同五輪組織委員会のセバスチャン・コー氏(現・世界陸連会長)の「アスリート会長」の流れをくむ。スペイン出身の女性市長とともに、互いのコメントをフォローし合い、初めて世界中にお披露目した会見が終ると、ホッとした笑顔でハイタッチをするなど自然でオープンな様子を見ながら、改めて東京の「違和感」に気付かされた。

 13年の東京招致決定以来、会長は政治家、それも元首相のため、周囲には森喜朗・前会長に気を使うような緊迫感がいつも漂い、その隣で会長をフォローし続けたのは、元官僚の武藤敏郎氏だった。森氏が特に延期の困難のなか、スポンサー、関係省庁、自治体を束ねた功績はある。一方で五輪の主役であるはずのスポーツ界の顔はいつもぼんやりし、存在感も薄かった。会会見はいつも「記者に教えている」といった雰囲気で、その会見を長く取材し続けたためだろう。パリが新鮮に見え、これほど政治が主導した五輪はかつてなかったことを実感させられた。

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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