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五輪開催とコロナ対策の二兎を追った菅首相の失態とメディアの責任

歴史的な疫病下で開かれた東京五輪が日本に残した命の危機と政治不信と社会の分断

徳山喜雄 ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

視野の狭い「日本ローカル」版報道

 五輪を見ていて気になるのは、「国家主義」が前面に出ることだ。先に述べた「政治利用」とも通底するのだが、今回の東京五輪でも日本のメディアは従来通りのメダル争奪戦を軸に、日本選手にスポットライトを当てる報道に終始した。どこか“国威発揚”を感じさせ、違和感を禁じ得ない。

 読売と産経新聞は日本選手のメダル獲得を連日のように1面トップで伝えた。選手の写真を大きくふんだんに使ったのも印象的だった。朝日、毎日新聞はトップでなく2番手、3番手にメダル報道を据えるケースが見られたが、スポーツ面から社会面へと日本選手の感動、成功物語があふれた。

 新聞、放送ともに海外選手の活躍をみることがほとんどできず、視野の狭い「日本ローカル」版のような報道になった。

「戦争報道」と重なる「五輪報道」

 私はかねてから「五輪報道」と「戦争報道」は酷似しているという問題意識を持ってきた。ひたすらメダルの数を報道するメディアの姿と、自軍の戦況を刻々と伝える従軍記者による報道の姿が重なってみえるのだ。

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筆者

徳山喜雄

徳山喜雄(とくやま・よしお) ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

1958年大阪生まれ、関西大学法学部卒業。84年朝日新聞入社。写真部次長、アエラ・フォト・ディレクター、ジャーナリスト学校主任研究員などを経て、2016年に退社。新聞社時代は、ベルリンの壁崩壊など一連の東欧革命やソ連邦解体、中国、北朝鮮など共産圏の取材が多かった。著書に『新聞の嘘を見抜く』(平凡社)、『「朝日新聞」問題』『安倍官邸と新聞』(いずれも集英社)、『原爆と写真』(御茶の水書房)、共著に『新聞と戦争』(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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