小澤いぶき(おざわ・いぶき) 児童精神科医、認定NPO法人PIECES 代表理事/Reframe Lab
精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。人の想像力により、一人ひとりの尊厳が尊重される寛容な世界を目指し、認定NPO法人PIECESを運営している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
「#問いを贈ろう」が開始。子どもの声を聞き、できることで関わり、社会の力に変える
社会課題に向き合う。どうしたら解決できるのかをともに考え、行動する――。そのきっかけとなる論考を、「論座」では積極的に「公開」していきます。
今回は、様々な環境に生きる子どもたちの周りに「優しい間(ま)」が生まれるための活動を続ける認定NPO法人PIECES代表の小澤いぶきさんの論考です。コメント欄にご意見をお寄せください。(論座編集部)
COVID-19の影響で、すぐ近くで起きている子どもの危機が見えづらくなったり、家が安全でない子どもたちの居場所が日常にないという課題が顕在化したりしています。その一方で、ここ数年、「子ども若者の孤立」に関する議論や、「子どもの権利」に関する議論が日本でも少しずつ活発になり、子ども庁の設置に向けた様々な議論がなされ、子どもの「well being」や孤立などに関して、世間の関心が高まってもいます。
このような議論が活発になる前から、「子どもたち」は私たちのすぐ隣で暮らしており、私たちの関わりをはじめ様々なことが、子どもたちを取り巻く環境に影響を与えてきました。関心が向けられつつある子どもたちをめぐる環境は、長期にわたる複層的な要素が重なって形成されています。
では現在、子どもたちを取り巻く環境はどうなっているのでしょうか。子ども庁設置に向けての動きが活発化したり、政策が動き始めたりするなかで、あらためて子どもたちの環境を「自分ごと」として捉え直していく必要があると感じます。
私はこれまで、子ども、そして社会の「well being」を目指し、社会で生きる私たち一人ひとりの市民性を醸成し、子どもたちの周りに「優しい間(ま)」を生む活動を幅広く行う認定NPO法人PIECESを運営する中で、「子どもの生きる環境に、直接的であれ間接的であれ、誰もが関わっている」と感じてきました。
本稿では、「子どものwell beingを取り巻く多層的な環境、つまり、政策や環境問題、そして子どもたちに直接影響する環境」についてユニセフのレポートから考え、そうした環境を育むための、誰もが欠かせない一人であることを基にした共にできるアクションについて述べたいと思います。