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五輪開会式中継で忘れられた手話通訳~取り残される人を減らすため一緒に考えて!

多様性と調和は「チョー難しい!! 」

藤木和子 弁護士・優生保護法被害弁護団

聴覚障害がある人たちが開く勉強会に向けて手話で打ち合わせをする藤木和子弁護士(中央)=2018年6月30日、東京都内拡大聴覚障害がある人たちが開く勉強会に向けて手話で打ち合わせをする筆者(中央)=2018年6月30日、東京都内

周りの人も気付いて! 一緒に考えて!~見せてもらえない子どもはいないか

 みんながハッピーになる最適解はなかなかありませんが、「取り残されて泣く人を一人でも減らせたら! せめて気付かなくては! 周りの人も気付いて! 一緒に考えて!」と発信していきたいです。

 知っていただきたいことがいくつかあります。

 まず、聞こえない・聞こえにくい子どもたちの中には、保護者から手話通訳付きのEテレを見せてもらえない子ども、総合テレビで字幕を見せてもらない子どももいるのではないかという危惧があります。

 手話や字幕に頼らず聞く力をつけさせたい、補聴器や人工内耳をしているから大丈夫というような保護者のお考えやお気持ちも理解しますが、その子自身のニーズや思いも大事にしていかないと心の発達や成長にも影響すると考えます。その場に居合わせた聞こえるきょうだいにも、罪悪感などトラウマ的な影響を与えかねません。逆に、家族全員が手話だ!と盛り上がっている中で、ひとり孤独な聞こえるきょうだいもいるかもしれません。力不足で申し訳ないのですが、もし、私に相談してくれることがあったら、どうしたらいいか一緒に考えていこうね、とせめて伝えたいです。

周りの人も気付いて! 一緒に考えて!~誰にも見られない手話通訳をした人の立場

 また、今回、無観客になってしまった会場のスクリーンに映る聴者の手話通訳者は、結果として誰にも見られない手話通訳をすることになってしまいましたが、もともとは開催地・東京の東京都聴覚障害者連盟の要望により、大会主催者等が手配して実現したものだと伺っています。しかし、開閉会式の内容だけではなく、テレビ中継におけるアナウンサーの実況や解説についても手話通訳が必要だったことが、テレビ中継には使われなかった直接的な理由です。このような結果になったことを心苦しく思うとともに、今後は、事前調整が必要な課題だと感じています。

 なお、閉会式のテレビ中継で唯一、会場の手話通訳者が映った場面がありました。バッハ会長等の挨拶の中継映像に会場の聴者の手話通訳者がワイプで入り、Eテレではろう者の手話通訳者とともに映されることになりました。

 Twitterでは両者の比較がなされ、ろう通訳の必要性を認識した等のコメントもありました。私自身、ろう通訳を見て、ろう者が求める通訳、クオリティを改めて実感し、勉強になりました。ただし、前提として、ろう通訳の成功は、技術の高い聴者の手話通訳者(フィーダー)との協働による

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筆者

藤木和子

藤木和子(ふじき・かずこ) 弁護士・優生保護法被害弁護団

1982年生まれ。耳の聞こえない弟とともに育つ。手話通訳者。聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会代表、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(全国きょうだいの会)副会長。障害のある人のきょうだい(兄弟姉妹)・ヤングケアラー経験者として活動。優生保護法被害弁護団。 【Twitter】 https://twitter.com/KazuFujiki 【Facebook】 https://www.facebook.com/kazulinlin

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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