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デジタル新聞の“歩き方”(下)――読者と記事の出会いを深めるメディアデザインを

デジタルならではの立体的歩き方の開発を期待。まずプレイリストで情報の水先案内から

校條 諭 メディア研究者

各紙既存ニュースレター。情報洪水の中、読者を記事へ案内

 読者は、このようなメディア洪水、情報洪水の中で、どのように見るものや読むものを選んでいるのだろうか。ある人はツイッターで自分がフォローしている人が紹介している記事を見る。また、ある人はフェイスブック友達が推薦している記事を見る。ニュースアプリなどからの通知メールを見て開くという人もいるだろう。

 人は目の前にあまりに多くの選択肢があると立ちすくんでしまって、自分で選ぶということを躊躇する。だから、フォロー相手や通知メールを頼りに読む記事を選ぶというのは、ある意味で合理的な行動だ。

 ニュースなどの記事の発信側は、おもには、ニュースレター(メールニュース)の形で登録者に送信しているほか、ツイッターの公式アカウントや記者個人のツイートで随時知らせている。つまり、読者がデジタル新聞の記事と出会うのは、デジタル新聞という「データベース」に発信者が誘導すると言う構図である。

朝デジは約30種、NYTは60種以上

拡大朝日新聞デジタルから届く各種ニュースレターのアイコン画像の例
 朝デジのニュースレターは(メールマガジンと呼ぶ方が近いものも含めて)かなり充実していておよそ30種を発行している。毎朝、昼、夜に出すニュースのお知らせのほか、「サンデー経済」、「ウィークリー 今週のおすすめ記事」など多彩。すべて無料だが、「World INSGHIT」、「アナザーノート(取材のエピソードなど)」のように有料会員限定の長文読み切りレターもある。

 「ニューヨーク・タイムズ」のニュースレターはもっとすごい。そのラインナップは、「Morning Briefing」「The Great Read」「The Weekender」など60種以上にのぼり壮観だ。すべて無料で、有料購読者でなくても取ることができる。原則として執筆者名が冒頭に入っている。読者は自分の趣向に合わせてニュースレターを選んでおくと、記事への水先案内人としての役割を果たす。

 Paul Krugman氏による同名のニュースレターの末尾には「In the Times」という記事リストがしばしば付いている。同氏の論に関連する記事が3つないし4つ選ばれている。選ばれる記事は、数日以内のものが多い。

拡大ニューヨーク・タイムズのニュースレターの一つ「The Great Read」の画面

おすすめプレイリストの役割果たすニュースレター

 朝デジやニューヨーク・タイムズと同様、日経電子版には、「Editor's Choice 編集局長が振り返る今週の5本」がある。これら週刊のニュースレターは、日々のニュースに追われがちな中、週に一度じっくりと主なテーマを振り返らせてくれる。

 ニュースレターの多くは記事の“プレイリスト”と呼べるだろう。オススメ記事のリストである。読者がこれはという記事と出会う役割を一定程度果たしている。

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筆者

校條 諭

校條 諭(めんじょう・さとし) メディア研究者

1948年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。73年、東北大学理学部卒。同年より野村総合研究所、ぴあ総合研究所(現文化科学研究所)で情報社会、メディア産業、消費者行動等の調査研究に従事。97年に起業したネットビジネス会社「未来編集」で、コミュニティサービス「アットクラブ」をNTTと共同開発し、オンラインマガジン発行。99年、ネットラーニングの事業化に参加。2005年から、ポール歩き(ノルディックウォーキング、ポールウォーキング)の普及に取り組む。12年、NPO法人「みんなの元気学校」設立。現在、ネットラーニングホールディングス監査役、インパクトワールド監査役、近未来研究会コーディネーター。主著に 『ニュースメディア進化論』(2019年、インプレスR&D)、編著書に『メディアの先導者たち』(1995年、NECクリエイティブ)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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