赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
僕が気になったのはこのニュースに対するネットの反論である。
車に落とせない塗料が付いてしまったということは、当然車の資産価値が大きく下がるわけで、カラースモークの低空噴射が多くの人に迷惑をかける行為であったことは明らかである。そしてそれは当の航空自衛隊が認めている。
にもかかわらず、自衛隊を擁護しようとしているのか、「自分だったら記念としてとっておく」と書き込む人が多発したのである。
「自分だったら」と言われても、着色汚れが付いてしまった車はあなたの車ではない。
最近、病気をしていたアントニオ猪木氏の顔色が良くなり、退院したことが報じられたが、猪木氏といえば、ファンに対してビンタをするパフォーマンスが有名だった。
あれもファン側がお願いしてビンタされているから記念になるのであって、たまたま向こうからアントニオ猪木氏がやってきて、すれ違いざまにビンタをされたら、単なる突然の暴行である。
それと同じように、車の持ち主が意図しない着色汚れは単に「車が他人に汚された」ということでしかなく、とてもではないが他人が「記念になる」などと喜ぶような話ではないのである。
また、パイロットが「基地周辺の人たちに喜んでもらいたかった」と説明していることを受けて「マスコミは悪意で報じるが、パイロットは喜ばせたかったのだから、こっちを中心に報じろ」と主張している人も見かけた。
いやいや、喜ばせたかったとしても、
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