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旭川の女子中学生のいのちから、私たちが学ぶべきこと(上)

いじめを生み出してきた学校という組織

田中駿介 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

拡大中学2年の女子生徒が遺体で見つかり、母親がいじめを訴えている問題で会見した弁護士ら=2021年8月18日、北海道旭川市

「絶望を生み出す学校」 いまも変わらず

 ルポライターの鎌田慧は、『せめてあのとき一言でも』(草思社、1996年)において、「暴行恐喝事件」や「担任も加担した葬式ごっこ」といった凄惨な「いじめ」を、いかに学校が隠ぺいしてきたのかについて取材している。ここで示される例には、単なる「いじめ」にとどまらず、刑法上の犯罪を構成すると思われるものも少なくない。

 今回の旭川市での事件に関しても、仮に「文春オンライン」などの報道が事実だとすると、同様ではないか。

 本来、学校は、あらゆる暴力を受けることのない「安全な場所」でなければならない。しかし、現実はほど遠い状況にある。

 そして、これは単なる「個人」の問題にとどまらず、社会構造の問題でもある。「絶望を生み出す学校組織」が、四半世紀前と変わらず残存していることの責任を、一個人のみに帰することはできないからである。

 「個人より集団」、「学校至上主義」、「情報公開をしない、させない」といった学校システムが根本的に見直されない限り、学校は「安全な場所」にならないだろう。こうした痛ましい事件を二度と起こさないためにも、学校をとりまく社会構造を変えていく必要がある。

「1人のために10人の未来をつぶしていいのか」の延長線上に

 教頭が述べたと手記に記されている発言は、前述した「個人より集団」を強く掲げる学校システムの問題が、端的にあらわれているように思われる。

 10人の加害者の未来と、1人の被害者の未来、どっちが
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筆者

田中駿介

田中駿介(たなかしゅんすけ) 東京大学大学院総合文化研究科 国際社会科学専攻

1997年、北海道旭川市生まれ。かつて「土人部落」と呼ばれた地で中学時代を過ごし、社会問題に目覚める。高校時代、政治について考える勉強合宿を企画。専攻は政治学。慶大「小泉信三賞」、中央公論論文賞・優秀賞を受賞。twitter: @tanakashunsuk

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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