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パラリンピックの感動を行動に移そう! そこに真のレガシーが築かれる

東京2020大会後に私たちがすべきこと

土橋喜人 宇都宮大学客員教授・スーダン障害者教育支援の会副代表理事

「UD2020」を知る国民はどれほどいたか?

 2021年の東京パラリンピックはどういう契機になるだろうか?

 ユニバーサルデザイン2020行動計画(UD2020)(注6)を政府は掲げ、心のバリアフリーとユニバーサルデザインの街づくりを目指したことになっている。国民のどれくらいの人がこのことを知り、これによって社会の大きな変革をもたらすことができるだろうか? 後世へのレガシーを残せるのだろうか?

 報道での扱いは大きくはないが様々な取り組みはされている。まずロンドンオリンピック・パラリンピックの際のIPCガイドラインを参考に、東京のガイドライン(Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン)(注7)が策定されている。それを実践し、今回の新国立競技場も大勢の障害者の参加によって丁寧に作りこまれている(注8)。既存施設である武道館も大幅改修工事が当事者参加によってなされた(注9)。また、空の玄関口の成田空港でも大幅な改修が当事者参加で実施された(注10)

新国立競技場のトイレは、異なる障害を持つ多数の方々によるワークショップでの議論を通じて、多様な人の利用を想定し、従来の多機能トイレの機能だけではなく、右麻痺&左麻痺用、男女兼用(オールジェンダー)、補助犬用(屋内、屋外)のトイレを設けるなど、様々な工夫を取り入れた

 しかしパラリンピックにおいて、UD2020については開会式で橋本聖子東京パラリンピック委員長が少し触れたのみであった。「パラリンピックを迎える準備を始めてから、私たちの社会は、ユニバーサルデザインのまちづくりや心のバリアフリーを目指してきました。一歩一歩、少しずつ、しかし、確実に社会は変わり始めています。」(開会式挨拶抜粋)

殆ど取り組まれなかった海外向け発信

 東京オリンピック・パラリンピックの開会前に、筆者は海外メディアの取材を受け、それが海外でも社会的影響力があるサイトの記事になっている(注11)。その取材の準備の際に筆者が気付いたのは、既述の様々な取り組みが殆ど海外向けに発信されていないことである。

 無論、海外のために様々な取り組みをしたわけではない。しかし、それを対外的にも発表することで国際的な責務として実現させていくことが必須となり、より真剣に取り組むことができるようになるのではないだろうか。

 「UD2020」に関する英語の情報発信・報道を筆者は必死に探したが1件(注12)しか見当たらなかった。また日本国内の報道でもUD2020を目にする機会はほとんどなかった。この有様では、「共生社会」を目指す取り組みは、実現性の低い掛け声のようにしか聞こえないのは筆者だけであろうか。

地上波放送はNHKに集中、問われる民放とスポンサー、国民

 パラリンピックの実際の報道(ニュース、新聞、インターネットなど)も前回のリオデジャネイロ大会よりは多いものの、地上波テレビの放送はNHKに集中

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筆者

土橋喜人

土橋喜人(どばし・よしと) 宇都宮大学客員教授・スーダン障害者教育支援の会副代表理事

札幌市出身。国際基督教大学(ICU)教養学部卒業。民間銀行、青年海外協力隊を経て、JETROアジア経済研究所開発スクール(IDEAS)および英国マンチェスター大学開発政策大学院(IDPM)修士課程を修了後、特殊法人国際協力銀行(JBIC)および独立行政法人国際協力機構(JICA)にて正規職員として勤務。2020年に宇都宮大学大学院工学研究科博士後期課程(システム創成工学専攻)を修了。博士(工学)。現在、都内の複数の大学の非常勤講師を兼務。 【Facebook】土橋喜人【Twitter】Yoshito Dobashi, @tomasidobby

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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