9月14日、ニューヨークでブロードウェイミュージカルの「ライオンキング」など、5つのショーが幕を開けた。
100年以上の歴史を持つブロードウェイは、過去に何度か俳優やミュージシャン、舞台係の組合のストライキ、悪天候などで閉鎖を経験してきた。先日20年を迎えた2001年9月11日の同時多発テロ事件後も、2日ほど公演を中止した。だが2020年3月から始まったパンデミックの影響による18か月の閉鎖は、史上最長だった。
夜も照明で照らされていたことから「Great White Way/偉大な白い道」と呼ばれていたブロードウェイ(正確には41丁目から53丁目までのブロードウェイ界隈のシアター街全体を指す)だが、2020年3月にパンデミックで閉鎖されてからは「Great White Wait/偉大な白い待ち」ともじられていた。

2020年3月、パンデミックでブロードウェイの劇場は閉鎖された
パンデミックによる閉鎖から段階的に回復してきたニューヨークで、すでにシアターはいくつか再開していた。だが14日は大ヒット作品の「ハミルトン」「シカゴ」「ウィッキド」などが揃って幕を開け、2005年にテレビ映画化されたミュージカル「ラッカワナ・ブルース」も、ブロードウェイデビュー。いよいよブロードウェイに本格的に活気が戻ったのである。
久しぶりの再開とあって、どこの劇場も満席で熱気に包まれた。曲が終わるごとにスタンディングオベーションとなり、感極まって涙を流す人も多かったという。
ソーシャルディスタンスのための間を空けることなく、通常通りチケット販売をしたが、新型コロナウイルスの対応は厳しく施行された。安全管理専門のスタッフが各劇場に配置され、12歳以上は入場時のワクチン接種証明書の提示、12歳未満と健康上、宗教上の理由でワクチン接種を済ませていない人は72時間以内のPCR検査の陰性証明書(抗体テストは開幕前6時間以内)の提示などが義務付けられている。また建物内では、常時マスク着用のルールも厳しく適応された。
今月はブロードウェイシアター以外にも、リンカーンセンターのニューヨーク・フィルハーモニック、メトロポリタン・オペラ、ニューヨーク・シティ・バレエ、そしてカーネギーホールも屋内公演を再開する。夏の間は市内中の公園や広場で野外公演が開催されてきたが、いよいよ1年半ぶりに本格的にニューヨークの舞台芸術が戻って来る。筆者も2年ぶりのシーズン到来とあって、メトロポリタン・オペラとカーネギーホールはサブスクリプションシリーズのチケットをしっかり抑えた。