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ワクチン証明書が「鍵」。ニューヨークでブロードウェイミュージカルが再開

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

復帰の鍵となったKey to NYC

/Shutterstock.com拡大mundissima/Shutterstock.com

 一時は世界でも最悪の新型コロナウイルス感染地だったニューヨーク市だが、2021年9月現在、こうして経済の回復と日常の正常化は着々と進んでいる。

 その鍵となっているのが、Key to NYCと呼ばれているワクチン接種証明書だ。デブラシオ市長は、8月からレストランの屋内ダイニング、バー、フィットネスジム、美術館や劇場、ナイトクラブ、映画館などの入場時に、12歳以上の全ての顧客と従業員にワクチン接種証明書の提示を義務付けた。これは全米でも初の試みで、もちろん反発の声もあった。

 だが知人の日本食レストラン経営者は、「これまでお客さんから苦情が出たことはありません。逆に、全員ワクチン接種済みと確認できて安心、という声が多いです」と語る。もちろん、レストランの場合はワクチン接種証明書がない人は、屋外の席で食事をすることが許されている。

 この義務付けのためもあったのか、現在ニューヨーク市内ではワクチン接種率はマンハッタンに限ると成人で79%まで上がっている。

ワクチンの効果を数値で見ると

 ではデルタ株が問題となっている現在、実際のワクチン効果は数字でどのように表れているのか。

 ニューヨーク市の調査によると、現在検査を受けた人の陽性率は9月に入ってこれまでの3%台から2%台後半までに下がっている。だがそれよりも、ニューヨークの経済再開を支えているのは、ワクチン接種開始前よりも重症化する人々の数がぐっと減ったことだ。

 パンデミックのピークだった2020年の4月には毎日5000人前後が陽性の診断を受け、1600人余りが入院、7日間平均でおよそ800人が亡くなった週もあった。セントラルパークには野外病院のテントが並び、安置所に入らない遺体の保管用冷凍トラックが、各病院の裏口に並んでいる光景は今でも忘れられない。

 だが1年半が経過した2021年9月中旬現在

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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