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ジェンダー平等を進める力に~女子初のプロサッカー「WEリーグ」開幕

社会課題を目標に掲げたリーグのメッセージ。女性活躍と多様性を認めあう未来へ

増島みどり スポーツライター

拡大WEリーグのオープニングマッチに臨むINAC神戸と大宮アルディージャVENTUSの選手たち。コロナ禍への対応で観客数は制限された。スタンドには「祝開幕」と書かれた横断幕が掲げられた=2021年9月12日、ノエビアスタジアム神戸

岡島チェアが開会宣言に込めた願い

拡大WEリーグの岡島喜久子チェア=2021年9月15日
 日本女子初のプロサッカーリーグ「Yogibo WEリーグ」(11クラブ)が12日開幕し、岡島喜久子チェア(63)はオープニングマッチとなったINAC神戸対大宮アルディージャVENTUS戦のピッチ(ノエビアスタジアム神戸、神戸が5-0で勝利)で、緊張気味に開会宣言に臨んだ。

 「日本の女子スポーツの新しいページが、本日開きます。ウーマンエンパワーメント(WE)という名前で、日本のジェンダー平等を前に進める、覚悟のリーグです。世界一の女子サッカーと世界一の女性コミュニティーの実現に向けて、そして多様な生き方と夢が生まれる社会を目指して、みんなが主人公になるために、WEリーグがステージとなります」

 リーグ発足の理念が溢れる挨拶に、スタジアムに足を運んだ4123人のファンからも大きな拍手が沸いた。

拡大WEリーグのオープニングマッチが行われたノエビアスタジアム神戸=2021年9月12日
拡大オープニングマッチ・神戸対大宮の前半、高瀬(右から2人目)がゴールを決め、喜ぶ神戸の選手たち=2021年9月12日、ノエビアスタジアム神戸

J発足から時代変遷。WEリーグはスポーツに求められる使命を象徴

拡大Jリーグ開幕戦の試合前、満員の観客を集めた国立競技場でのセレモニー。中央に「J」の文字=1993年5月15日、朝日新聞社ヘリコプターから
 1993年5月にJリーグが開幕した日も、当時チェアマンの川淵三郎氏が「スポーツを愛する多くの皆様に支えられて、Jリーグは今日ここに、大きな夢の実現に向かって、その第1歩を踏み出します」と開会宣言を行っている。あえて「サッカー」に限定せず、「スポーツを愛する皆様」に対し幅広く、強いメッセージを送る印象的な宣言だった。

 93年からわずか28年で、Jクラブは当時の10から57クラブにも拡大。「大きな夢」のひとつだったW杯出場もリーグ発足から5年後の98年フランス大会で実現し、女子日本代表「なでしこジャパン」は2011年、男子より先にW杯(ドイツ大会)で優勝を果たした。

 いくつかの夢を実現したうえで誕生した女子プロサッカーからの発信には、夢ではなく、女性活躍社会や多様性といった競技外での社会の問題意識、現実的な目標が盛り込まれた。時代の変遷、同時に時代とともにスポーツに求められる使命の変化を象徴するようなメッセージだった。

拡大W杯で優勝し、トロフィーを掲げて喜ぶ沢穂希(10)ら日本の選手たち=2011年7月17日、ドイツ・フランクフルト

選手が考えた行動規範クレド 「私たちは未来をつくる」

 選手が読み上げた「クレド」も新しく、他競技にはないユニークなものだった。

 クレド(Credo)とはラテン語で「信条、約束、志」を示し、企業では経営者側の理念とは別の、従業員の行動規範として従業員が自主的に定めるケースもある。

 WEリーグは「WEリーガークレド」として以下を定めた。

WE PROMISE
私たちは、自由に夢や憧れを抱ける未来をつくる
私たちは、共にワクワクする未来をつくる
私たちは、互いを尊重し、愛でつながる未来をつくる
みんなが主人公になるためにプレーする

 開幕の日も各会場で、選手が試合前にこのクレドを読み上げた。開幕前、選手たちが話し合い、考えたものだという。

拡大選手たちが話し合って定めた行動規範「WEリーガークレド」

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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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