7大会連続出場は? 常に過酷だった過去の最終予選を思い起こす
2021年09月30日
9月7日にドーハ(カタール)で同予選中国戦(1-0で勝利)を終えた森保監督ら代表スタッフは、帰国に伴う隔離時期を経て再度、サウジアラビアに向かう手続きの難しさを避けて、カタールから欧州へ直行。ドイツのデュッセルドルフに日本協会が置いた欧州オフィスを拠点に、車で移動できる範囲で選手たちを訪問、試合を視察するなどして情報を収集した。
スペインのマジョルカに在籍する久保建英とスコットランドのセルティックスの古橋享梧(ふるはし・きょうご)は負傷で、ベルギーのヘンク在籍の伊東純也は累積警告のため欠場(サウジアラビアで合流し豪州戦には出場可能)する。
こうした苦境に、森保監督は欧州での視察で実際に会って確認した「コンディションの上がってきている選手」を選出。特に、東京五輪ではボランチで起用した田中碧を2019年12月のE-1選手権以来1年10カ月ぶりに招集したほか、9月には招集していなかった三好康児、DFに橋岡大輝を呼ぶなど、五輪で監督として起用した若手に、1敗を負うプレッシャーを背負う中での活躍と、勝利への貢献を求めた。
10月の連戦は早くも正念場となる。過去日本の最終予選を振り返ると、2敗では出場できない。
18年ロシア大会の最終予選(ハリルホジッチ監督)も初戦黒星でスタートしたが、後に連勝で首位を奪還。最終戦のアウェー、サウジアラビアで敗れて(0-1)2敗したが、すでに突破決定後、いわば消化試合での1敗だった。
「ジョホールバルの歓喜」と言われ初めてW杯出場を決めた98年フランス大会最終予選(加茂周監督―岡田武史監督)は5カ国で4引き分けに苦しんだが、意外にも敗戦はホームの韓国戦のみで、イランとのプレーオフで初出場を勝ち取った。06年ドイツ大会の予選(ジーコ監督)もアウェーでイランに1敗を喫したが、4カ国の首位で突破を果たしている。
10年南ア大会(岡田監督)は、3分けと勝ち切れない試合はあったが、それでも敗戦はオーストラリアのみと踏ん張りグループ2位(5カ国)で突破。本大会ではアウェーのW杯で初めてベスト16に入った。
ザッケローニ監督が率いた14年ブラジル大会もやはり、アウェーのヨルダンで1敗したが(5カ国)世界中の予選出場国でW杯一番乗りとなった。
2試合終了時点で日本は勝ち点3でB組4位。アウェーのサウジ戦(同2位)、ホーム(12日、埼玉スタジアム)の豪州(得失点差で同首位)とも敗戦はできず、皮算用なら最低でも勝ち点4で(1勝1分)、4試合合計勝ち点7で切り抜けなければ今後の戦いは、出場に赤ランプが点灯したまま厳しくなる。
森保監督は長い欧州視察中にオンライン取材に応じ、デュッセルドルフを拠点に、ベルギー、フランス、オランダを車で移動してクラブや練習を視察したと明かしていた。
カタールでの中国戦に招集しながら起用しなかったフランス2部、トゥールーズに移籍し好調を維持するFWのオナイウ阿道(25)の試合も、監督は現地で視察している。田中やオナイウといった新しい代表選手が存在感を示せれば、攻撃陣3人が不在となるアクシデントを来年まで続く予選のバネにも変えられるチャンスだ。
また、過去のW杯最終予選で中東での過酷な試合を経験しているのは、吉田麻也らベテラン勢でこれも不安材料だろう。
アジアでの強力なライバル・豪州も2試合に勝利して首位に立つ。対戦成績でも11年以降、4勝3分と日本が優位に見える。しかし、試合の多くが1点差と僅差。また、12日の試合に向けて、シドニーで試合を行う豪州のほうは時差がなく、むしろアウェーに適応しやすいのに対して、日本は環境も時差も負ってサウジから帰国する。ホームでありながら逆ハンディを負う状態にも懸念はある。
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