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ウィシュマさん民事訴訟弁護団・児玉晃一さんに聞く入管・難民問題(上)

人を傷つけてもいないのに、無期限に自由を奪われる。もし、あなたなら?

松下秀雄 「論座」編集長

収容に期限がない、やることがない、希望をもてない

 ――入管の収容施設は刑務所よりひどいという人もいます。どんなところなのでしょうか。

 施設の設備などが刑務所より悪いとは思いませんが、刑務所なら無期懲役は別として、「懲役何年」などと上限が決まっているから、あと何年頑張ればいいとかわかりますよね。でも、入管からはいつ出られるかがわからない。これは本当にきついと思います。

 それから、やることがない。刑務所なら刑務作業があって、本来なら働かなくていい禁錮刑の人も志願して仕事をさせてもらうことが多いと聞きます。人間、何もしないでずっとぼーっとしているのは苦痛なんです。

 しかも、刑務作業を一所懸命頑張れば、たとえば手紙を出せる回数が増えるとか、面会できる回数が増えるとか、メリットが出てくる。模範囚だったら仮釈放が早まる。だから、やりがいがあるけれど、入管にはそれもありません。

 あとはやっぱり、自分で納得できないことですね。人を殺したり物を盗んだり、悪いことをして入らなくちゃいけないのなら、ある程度は納得いくと思う。でも入管の場合、とくに難民申請者だったら、「自分は助けを求めにきたのに、なんでここにいなくちゃいけないんだ」と感じ、納得できない。

 ――なんらかの罪を犯し、刑務所で刑期を終えたあと、入管に収容されている人もいます。

 彼らにしても、「おつとめ」は果たしているわけです。日本人だったら、刑期を終えれば外に出て働けるのに、外国人というだけで、いつ出られるかわからないところに閉じ込められる。納得できないのは当然じゃないでしょうか。そういう意味で、精神的な面で刑務所よりきついと思いますね。

「家族が死にそう」 追い返された救急車

拡大記者会見するウィシュマ・サンダマリさんの妹・ポールニマさん(右から2人目)、児玉晃一弁護士(左)ら=2021年10月5日、東京・永田町

 ――ウィシュマさんの場合は、適切な医療を受けられませんでした。

 医療体制の不備は前々からいわれているところです。救急車を追い返したこともあります。収容されている方がご家族に体調が悪いことを伝え、ご家族が病院につれていくよう求めても入管が応じなかった。このままでは死んでしまうかもしれないと救急搬送を依頼し、救急車が2回、行ってくれたのですが、入管は2回とも本人に会わせないまま帰してしまった。

 命を預けているのに、ちゃんと対応してくれない。できないなら収容しなければいいのに。

 ――希望をもてない環境におくことで、日本にいるのを諦めさせ、帰国させる目的があるのでしょうか。

 前々からそうだと思っていましたけど、ウィシュマさんの最終報告書に「一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要あり」と書いてありました。収容は本来、そういうことのためにするものではありません。

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筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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