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眞子さまがNYで暮らすのは良い選択。懸念は小室圭氏の「常識」

現地在住40年の筆者からみたメディア、住居、警護……

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 眞子さまと小室圭氏のご結婚が秒読みとなり、日本のマスコミは関連の報道で一色に染まっているかのようだ。

 ニューヨーク在住40年になる筆者としては、お二人が新たな生活を始める場所にニューヨークを選んだのは、良い選択だったと思う。この街には有名人、著名人が普通に暮らしていて、名の知られた政治家やハリウッドスターも気軽に一般のレストランで食事をしている。見かけても無粋に騒ぎ立てないのがニューヨーカーの心意気とされている。

 筆者のいるビルの隣にはアフリカの某国の王さまが住んでいるが、警備員やパパラッチに囲まれている様子もない。一般人として普通に暮らしたい、と望まれるならお二人にとってこれ以上の選択はないかもしれない。

Sean Pavoneshutterstock拡大世界各国から来た著名人が多数暮らすニューヨーク・マンハッタン Sean Pavone/Shutterstock.com

アメリカ社会の二人への関心度は

 ただ一つ力説したいのは、ニューヨークに来て住むのはあくまでスタートであり、解決策、ゴールではないということだ。ご結婚と同じく、これから様々な問題に直面されることが予想される。

 ニューヨーク市とその近郊には、現在ニューヨーク日本国総領事館に在留届を出していない人も含めると、およそ7万人の日本人が住んでいると言われる。

 「日本であれだけ話題になっているので、在留邦人も当然関心は高いと思います」。そう語るのは、日系コミュニティ新聞「週刊NY生活」の発行人で、在米37年になる三浦良一氏。

 「でも眞子さまが一人の人間として幸せをつかむということに関して、まずは祝福して静かに見守ってあげたいと思っています」

 三浦氏は、過去の例をあげる。皇族から結婚によって一般の人になった女性は、眞子さまで戦後9人目。海外に住んだという点では、60年代に夫のワシントンD.C.駐在に同行した島津貴子さん以来だという。

 「貴子さんは帰国してから日本の新聞のインタビューを受けて、『海外で暮らしていると大勢の人目にさらされるというプレッシャーがないので解放されて楽しかった』というようなコメントを出した。眞子さまも海外で生活することによって平和な日々を過ごせるのではないかというニュアンスの記事がNYタイムズに出ましたが、その通りだと思います」

結婚式を終え記者会見する島津久永と妻の島津貴子 1960年3月10日東京・高輪の光輪閣で拡大結婚式を終え記者会見する夫の島津久永氏と妻の島津貴子さん=1960年3月10日、東京・高輪の光輪閣で

 ではニューヨークに来てしまえば、パパラッチに追いかけられることもないのかと言えば、それは日本側の関心の高さ次第だという。

 「お二人に関してはアメリカの人たちはそれほど関心を持っているわけではなく、アメリカの報道機関の日本特派員がアメリカに送っている情報が記事になっているだけ。ただ日本のテレビ局や週刊誌などがお二人の近況について取材などを発注すれば、現地在住のジャーナリストは仕事としてやるでしょう」

 しばらく落ち着くまでは、日本のテレビ局のニューヨーク支局の取材合戦などが繰り広げられそうだが、ニューヨーク市民に眉をひそめられるような醜態を演じないことをひたすら願うばかりだ。


筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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