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10万円給付の酷さ。コロナ禍前から本当に困窮している人たちにお金を流せ

赤木智弘 フリーライター

 それにしても酷い。

 何が酷いって、岸田政権による10万円の給付だ。

 ぶっちゃけ「18歳以下へのひとり当たり10万円相当の給付」はどうでもいい。

 夫ひとりが年収961万円の世帯はもらえないのに、妻と夫が両方年収900万円で合わせて1800万円の世帯はもらえるから不平等だなんて批判が出ているが、お金を持っている人たちのことはどうでもいい。

 19歳になってしまった人はかわいそうだなと思うが、私にはその程度の受け止め方しかない。

 問題はもう1つの方だ。新型コロナによる困窮支援としての「住民税非課税世帯に対する10万円の給付」である。正直、「住民税非課税世帯」という言葉ほど腹の立つものはない。ましてや「経済的に困っている世帯」などと言われると、本当にムカつく。

 ハッキリ言うが、この世帯は「住民税が非課税な世帯」というだけのことであって、困窮している世帯そのものを指す言葉ではない。

 単身者であれば給与のみの年収100万円以下では住民税非課税世帯となる。しかしちょっと考えてみれば分かるが、100万円以下の年収で普通の1人暮らしの生活ができるはずはない。

住民税の通知書拡大住民税の通知書。住民税が課税されるかどうかは困窮の実態とは必ずしも一致しない

 では住民税非課税世帯とは、どういう人たちなのだろうか。

 もちろん生活保護受給者や、極端に収入の少ない人も住民税非課税世帯に含まれてはいるが、この世帯に何かを給付しますと言ったときに、それを受け取る人のなかには少なからず年金生活者がいるのである。

 年金収入だけの場合は、夫婦2人暮らしでどちらかが扶養親族で、おおよそ扶養する人の年金が211万円以下であれば、住民税非課税世帯となる。

 もちろん住んでいる自治体や配偶者の年金収入など、さまざまな条件はあるが、年収100万円の1人暮らしの人の2倍以上の収入があっても住民税非課税世帯として扱われるのである。

 さらに、これは前年度の収入が基準であり、土地や家などの資産をすでに持っているのであれば、年金生活者であっても、住民税非課税世帯というイメージほどは、生活に困っているわけではないとも言える。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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