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クーポンでも困っている人は貯蓄に回す。現金給付と継続的な再分配を

赤木智弘 フリーライター

 18歳以下の子供に対する10万円の給付で、無駄な経費が発生しかねない問題が起こっている。

 というのも、決定した10万円の給付は、「5万円を現金、残りの5万円をクーポン」としたが、現金給付だけなら約300億円かかる事務費が、現金とクーポンとなることで約1200億円かかると、財務省が説明したからである。二度手間で事務費2倍どころか、まさかの4倍も事務費がかかるという。

 しかも話を聞いていると、これはどうも「支給のためだけの経費」のようで、使用されたクーポンを事業者から送ってもらい、店舗などにお金を振り込む経費は含まれていないようである。

 現金給付であれば一度給付してしまえば国は何もしなくていいし、事業者側も特別な事務手続きの必要は無いが、クーポンだと現金化するための手続きにまたお金がかかってしまうのである。

 そもそも社会保障としての金銭の給付は現金が一番シンプルかつ使い勝手がいいのであり、わざわざクーポンにする必要はないと、僕は考えている。

 クーポンは使えるお店やサービスが限られ、消費者のニーズに十分にマッチしない可能性も考えられる。その点、現金なら当然ほとんどのお店で使うことができるのである。このようにクーポンは現金に比べて使い勝手が悪いので、金銭的価値が低いということも言えるだろう。

 また本人確認の必要が無い紙のクーポンは、確実に転売などの問題が発生する。クーポンよりも目先の現金という需要は確実に存在しているからだ。転売を防ぐために本人確認を行おうとすれば、当然追加の出費がかかる。

特別定額給付金の事務作業をする人たち=6月1日、大阪府河内長野市原町1丁目の市役所拡大2020年6月、大阪府河内長野市役所で行われている特別定額給付金支給の事務作業。クーポンの配布となると手間はさらにかかるのではないか

 アメリカで低所得者向け食糧支援として給付されるフードスタンプのようにカード化するのはどうだろうか?

 継続的に給付するなら新しいシステムを導入するのも考え方次第でありだろうが、一時的、散発的に行う給付に新しいシステムを作るのは、お金と手間がかかりすぎる。

 そもそも現金だって、紙に額面が書かれたクーポン券のようなものである。クーポンにするなら「日本銀行券」という実績のある万能クーポンをそのまま給付して欲しい。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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