赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター
1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
もちろん僕の意見は「生活保護などの救済措置を受けることは、権利であって迷惑だと考える必要はない」である。
だが、実際「生活保護など受けたくない」という人は少なくない。
理由は概ね2つだろう。
1つは世間の生活保護に対する偏見である。
僕が思い出すのは、2012年に芸能人の親族の生活保護受給が報じられたことを発端にした生活保護バッシングである。
多くの人たちが「芸能人はたくさんお金を稼いでいるのに、親族を養わず、生活保護を受けさせているのはズルい」と批判し、一部メディアなども「不正受給が蔓延」「モラルがない」といった記事で煽り立てた。
また、そうした批判者の中には国民の生活を守るべき立場にいるはずの政治家たちもいた。
特に自民党の片山さつき氏は様々な場でモラルの問題や努力不足などを語り、生活保護バッシングの波に乗りたいメディアから重用された。
自民党の世耕弘成氏は、「生活保護を受給する人はフルスペックの人権を認めてほしいのか」と発言、権利の制限を訴えた。
また自民党の石原伸晃氏は「報道ステーション」に出演し「ナマポ」という生活保護を揶揄するネットスラングを用いて、生活保護を簡単に「ゲットできる」ことを是正したいなどと主張した。
こうした、政治家や多くの市民による無責任な発言が、生活保護受給に対するネガティブなイメージを与えてしまい、そうした発言におびえた人たちが受給に消極的になってしまったのではないだろうか。
そしてもう1つは