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写真やイラスト素材は、「フリー」であっても規約や使用条件の確認を

赤木智弘 フリーライター

 鳥取県境港市が2018年に制作したホームページやチラシで使用したイラストに、著作権者に無断で使用していたものがあったことが明らかとなった。著作権を管理する会社が今年9月に無断使用を指摘したところ、市は謝罪。ホームページから削除した上で、使用料46万円を支払うという。

 今回の件で職員は「著作権はなく使用許可は必要ないと思い込んでいた」と報じられている。しかし日本では、誰かが「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法)を制作すれば、自然と著作権が発生する。そのため「著作権がない」というのは作者の死後70年経過して著作権の期限が切れることでしかあり得ない。

 著作物には、基本的にはすべて著作権がある。たとえ子供の落書きでも著作物である。フリー素材もまた、著作権者が「規約の範囲であれば無料で使っていい」として提供しているに過ぎないのである。

Ralf Liebholdshutterstock拡大garage/Shutterstock.com

 今回のような事例にはすでに判例が存在している。

 ストックコンテンツ事業などを行っている「アマナイメージズ」が、同社が権利を持つ画像を無断利用した相手を訴えた裁判だ。東京地裁は2015年4月15日に「たとえ無料の素材ダウンロードサイトから入手した場合であっても、利用者には著作権等について調査、確認する義務がある。権利関係が不明であれば、著作物の利用を控えるべき義務がある」とした。その上で、義務を怠ったということは、著作権侵害の可能性を認識しながら、それでも構わないと考えていたという「未必の故意」があったと判決を下して、これが確定している。

 すなわち、今回の境港市のケースでも、市側が著作権についての確認を怠ったことは明らかであり、謝罪と使用料の支払いは法的にも当然と言えよう。

 さて、サイトやチラシなどを作成するときに、簡単なイラストやイメージ写真を載せると、全体的に親しみやすい雰囲気になるし、告知内容も伝わりやすくなるため、気軽に使うことは多い。

 しかし、その素材の著作権がどこにあるのか、どのような範囲で使用して大丈夫なのか、ちゃんと確認しているだろうか? まさか夕日が落ちる海の素材が欲しいからといって、Googleなどの検索サイトで「海 夕焼け フリー素材」とだけ検索して表示されたサムネイル画像をペタっと貼り付けていたりしないだろうか?

 もしそんな調子で画像を利用していると、ある日突然、本来の著作権者から高額の利用料が請求されるかも知れない。

 無駄なトラブルを避けるためにも、ネットで素材を利用するための基礎知識は必要不可欠である。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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