差別排外的な政策は感染拡大阻止にも寄与しない
2022年01月13日
「米軍はノーパスで入国可能、感染対策を施しても外国人留学生は排除」。こんな不条理な話もないだろう――。
在日米軍が位置している沖縄県、山口県で、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。クラスターが発生しているとされる米軍基地が感染拡大の一因になっていることが懸念されている。他方、外国人の新規入国停止措置は依然として続き、人権問題に発展しているといっても過言ではない。
2013年1月の日米合同委員会で承認された覚書によると、日米両政府は、在日米軍基地や施設内で特定の感染症や新感染症の患者が出た場合には情報を共有し、基地や施設内の病院と日本の保健所が協力して必要な措置をとる指針が示されている(注1)。ただし日本側の支援など具体的な対応は示されていなかった。
神奈川県の黒岩祐治知事は、このことを問題視し、2020年6月、県議会定例会で在日米軍基地・施設の感染症対策をめぐる日米合意の見直しを国に求める考えを示していた。当時、米軍は、感染状況の詳細を公表しないよう各国に求め、日本政府は応じていたのだった。
強調しなければならないのは、この議論がなされたのは1年半も前のことであることだ。
このように、他国との往来が多発し、明らかに「密」になりがちな米軍基地が、感染症のリスクになることは明らかだった。しかし、政府はそうした指摘を受けても満足な対応をとらず、あろうことか米軍関係者は、昨年9月3日以降は米国出国時と日本入国直後のPCR検査すら受けていなかった(注2)。したがって「第6波」感染爆発は、こうした対応を見過ごしてきた政府の対応に問題があったと言わざるを得ない。
しかし、日本の「水際対策」が最も問題含みである点は、なにも米軍への対応が甘かったことばかりではない。その一方で、ほかの多くの外国籍の人たちを
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