[1月1日~1月7日]『香川1区』、『彼岸花が咲く島』、「年越し大人食堂」…
2022年01月13日
1月1日(土) 年が明けた。あはは、22年か。Catch 22という英語の表現がある。不条理な状況のなかでにっちもさっちもいかない、という状態のことをいう。そういう一年にならないように今年は(も?)抗うことにしようと秘かに誓う。
この年末年始、自宅で過ごすことになった。2年連続でこうなった。考えてみれば、僕は徹底した取材貧乏症なので、この10年以上は、年末年始のように時間がとれるタイミングは、長期取材のチャンスだと思って、普段は行けないところ(主に海外の、誰も行きたくないような場所)に進んで向かっていくという生活をしてきた。コロナ禍でそれが思うようにできなくなった。
昨夜は「紅白歌合戦」というのがテレビで流れていた。この10年間くらいはまともにみたことがないし、それを始めから終わりまでみる羽目となってしまった。で、何だかはるか遠い異世界の国のテレビ番組みたいだった。今の若い子たちは、こんな新興宗教みたいな歌詞の歌が本当に好きなんだろうか。「不安なこころ 抱えた悩み それは神様が 君に与えた課題」(ケツメイシ「ライフイズビューティフル」)とか、「周りを見たって 誰と比べたって 僕にしかできないことはなんだ」(YOASOBI「群青」)とか。まあいいや。NHKの紅白的、歌なんだから。
岩波『世界』の短期集中連載「『赤木ファイル』を読む(下)」の原稿を書き始める。しばらく書き進めて行き詰まり、頭を切り替えるために、近所の、まだ一度も行ったことがない神社にでも出かけてみるかと思って散歩がてらに歩いていくと、そこはとんでもないことになっていた。歩いて15分くらいの所にある神社をスマホで検索して近づくと、数百メートルにわたって行列ができているではないか。初詣に来た人々なのだ。散歩半分の気分で来た自分とは、気構えがそもそも違っていた。なかには和服を着た人もいるではないか。たじたじになって自宅に引き上げがてら、みると近所のドーナツ店にも行列ができていた。
夜、これも近所の映画館に出かけて『ラストナイト・イン・ソーホー』をみる。こういう60年代色で彩られたスリラー映画だとは思ってもみなかったが、この映画、期待以上に面白い。今年の目標のひとつは、とにかく映画を見まくることだ。
1月2日(日) 「學士會会報」の1月号が届いていたのでパラパラめくっていたら、日本経済新聞の上級論説委員兼編集委員氏の「衆院選総括と政局展望」という講演録が掲載されていた。いやはや、あられもない、と言うか。そうなんだよな、やっぱり政治部記者というのは、こういう人たちなんだよな、と奇妙にも納得した。
午前11時40分からの今年の初回上映ということで、例の『香川1区』をみに出かけた。何と満席。きのうオンラインでチケットを買っておいてよかった。ESPAの智子さんも来ていた。小川淳也vs平井卓也という、わかりやすい「善悪」2元図式というか、「いい人と悪い人」みたいなフレームのドキュメンタリー映画はあんまり好みではない。この映画が100%そうだとは思わないが、その気配はある。
興味を引いたのは、平井候補が遊説でこの映画の前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』のことを「PR映画」とこき下ろしていた現場に立ち会って、大島新監督がキレたシーン、平井陣営が期日前投票を確認する秘密のとりまとめ作業を行っていた現場取材を試みていたシーン、さらには小川候補が維新候補の独自擁立を知ってキレたシーンなど。政治シーンにも、日経の編集委員氏のようなアプローチもあれば、大島監督のようなアプローチもある。そこで僕らは何をみているのか。
1月3日(月) 午前11時40分に四谷の聖イグナチオ教会前で取材クルーと待ち合わせて、「年越し大人食堂2022」の取材をする。継続して取材する意味があると思ったので。行列はすでに200人以上に達していた。お天気がよくてよかった。
前と比べて(昨年末およびGW期間)いくつかの変化があった。
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