2022年という年がやってきたけれど…
[1月1日~1月7日]『香川1区』、『彼岸花が咲く島』、「年越し大人食堂」…
金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター
『香川1区』にみる政治シーンへのアプローチ
1月2日(日) 「學士會会報」の1月号が届いていたのでパラパラめくっていたら、日本経済新聞の上級論説委員兼編集委員氏の「衆院選総括と政局展望」という講演録が掲載されていた。いやはや、あられもない、と言うか。そうなんだよな、やっぱり政治部記者というのは、こういう人たちなんだよな、と奇妙にも納得した。
午前11時40分からの今年の初回上映ということで、例の『香川1区』をみに出かけた。何と満席。きのうオンラインでチケットを買っておいてよかった。ESPAの智子さんも来ていた。小川淳也vs平井卓也という、わかりやすい「善悪」2元図式というか、「いい人と悪い人」みたいなフレームのドキュメンタリー映画はあんまり好みではない。この映画が100%そうだとは思わないが、その気配はある。
興味を引いたのは、平井候補が遊説でこの映画の前作『なぜ君は総理大臣になれないのか』のことを「PR映画」とこき下ろしていた現場に立ち会って、大島新監督がキレたシーン、平井陣営が期日前投票を確認する秘密のとりまとめ作業を行っていた現場取材を試みていたシーン、さらには小川候補が維新候補の独自擁立を知ってキレたシーンなど。政治シーンにも、日経の編集委員氏のようなアプローチもあれば、大島監督のようなアプローチもある。そこで僕らは何をみているのか。

『香川1区』上映前のポレポレ東中野。結局、満席になった=撮影・筆者

李琴峰『彼岸花が咲く島』(文藝春秋)=撮影・筆者
今年最初に読破した小説は李琴峰の『彼岸花が咲く島』。これは一種のユートピア小説(ニライカナイ小説?)かもしれない。明らかに沖縄などの南方諸島の島を舞台とした作品である。一種の言語の創造作業が行われていてとても美しく、楽しい。時空を超えて想像力が拡がる。「そんな可能、どこに有するラ!」。与那国島や宮古島のことをいつのまにか考えていた。薦めてくれた後輩のSよ、ありがとう。