2022年01月31日
JR東日本が4月から、夜間勤務の駅員や乗務員にウェアラブルカメラを配備する方向で動いているという。
理由は乗客による駅員への暴力対策だ。
国土交通省の調べによると、2020年度における鉄道係員に対する暴力行為の発生は全国で439件。暴力防止を呼びかけるポスターを駅に掲示するなどの効果もあり6年連続で減少しているが、まだ高止まりの状況だ。さらに言えば、暴力に至らない暴言ははるかに多い件数発生していることは間違いない。
暴力行為の加害者は半数以上が飲酒をした状態で問題を起こしているため、酔った客に絡まれやすい夜間勤務の駅員に限っての配備になったようだ。
僕は駅員のウェアラブルカメラ装着については大賛成である。
実際、都心で電車に乗っていると、乗客が駅員に詰め寄って怒鳴っている場面を目にすることがある。特に、ダイヤが乱れたときに怒鳴っているサラリーマンなどを見ると、「一体何をしたいんだ、アイツは……」とむかっ腹が立って仕方がない。
様々な原因で電車が遅れて困ったり、少しばかり苛ついたりするのはほかの乗客も駅員も同じなのに、さも自分だけが誰かを怒鳴りつける権利があるかのように怒っている。怒鳴ったところで、周囲にそのいらつきを拡散させるだけで、電車が早く来るわけではないだろうに。
そうした光景を見ながら「あんなヤツなんか、ぶん殴って黙らせろ」と無責任に思うこともあるが、それで暴力の責任を負うのは駅員さんだ。
このように、駅員さんが困っているシーンを見る度にモヤモヤしていたので、ウェアラブルカメラの配備に賛成するわけである。
メリットとしては、やはり駅員に対する暴力や暴言に対する抑止効果を期待できることだろう。
駅員に怒鳴るような人は、相手が反撃できないであろうことを見透かして、ストレス解消とばかりにお気軽に気持ちをぶちまけている。それが録画によって暴力や暴言の証拠を撮られ、ともすれば訴えられる可能性を認識すれば、そう簡単には怒鳴れなくなるだろう。
さらに、問題が発生したときに動画で記録が残っていれば、駅員たちの後ろ盾にもなる。
トラブルが発生したときに、事なかれ主義的に客の主張を鵜呑みにし、部下の言うことを信用しない上司はどこの組織にもいる。そうしたことがあるので、対応に本当に問題が無かったかを映像として証拠に残しておくことは非常に重要である。
最近は駅係員も鉄道会社の正社員ではなく、パートやアルバイト、契約社員といった非正規労働者が増えている。弱い立場にある労働者たちの労働環境を守るためにも、問題になりかねない現場はしっかりと記録しておきたい。
また客にとっても、駅員とトラブルがあったときに、問題の根拠を示す客観的な証拠になる。
一方でデメリットもある。
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