ゼロコロナ政策と外交的ボイコットを抱え、北京は夏冬五輪を開催する初の都市に
2022年02月01日
北京冬季五輪に出場する日本選手団の多くが1月30日、現地に出発した。前日の29日、役員コーチを含み262人と、海外での冬季五輪としては最多の人数となった選手団の結団式が、都内ホテルで行われた。
高木は今大会、500㍍ほか5種目の出場権を手にしており、「バンクーバー五輪(10年)に出場して12年で、こうした大役を頂いて嬉しかった」と、主将を受諾。前回平昌五輪では小平奈緒(相澤病院)が、「(五輪選手団の)主将は、金メダルを取れない」という長年のジンクスを打破して、500㍍の金メダリストに輝いているだけに、頼もしい存在だ。
伊東秀仁団長は記者会見で「(冬季大会過去最多の13個だった)平昌五輪を超えるぐらいのメダルを取りたい」と、目標を示した。
郷と共に旗手に選ばれたノルディック複合の渡部暁斗(33=北野建設)は、直接北京入りするため結団式は欠席したが、1月21日、遠征先のオーストリアから会見に臨んだ。
10年バンクーバーは9位に順位をあげ、この後14年ソチ五輪まで、W杯初優勝や世界選手権の4位などをバネに実力者として確固たる地位を築く。ソチでは前半のジャンプで2位につけ、後半のクロスカントリーで金メダルのフレンツェル(ドイツ)と4.2秒差の激闘で、ノルディック複合で個人として20年ぶりとなる銀メダルを手にした。
18年平昌五輪も同種目で銀メダルを獲得。欧州が主流の競技で、2大会連続銀メダル獲得は十分に称賛される。しかし今大会を前に、「金メダルを取りたい気持ちは常に強く持っていたし、金メダルしか考えていない。そこに向かって全力を尽くしていきたい」と、金メダルへの強い思いを繰り返した。
複合では、年間を通じた実力を示す「W杯総合王者」に特別な敬意が払われる。17~18年シーズンにこれを果たし「キング・オブ・スキー」の称号を手に。それでも「競技をもっとメジャーにしたい」と願い続けるベテランは、五輪で多くの人に複合を知ってもらう、そこに金メダルの価値を見出す。
今季W杯最高は6位だが「色々なアクシデントはありますが、まぁそこはベテランの経験で……」と、メダルを狙うのは最後と決めた集大成の場に、肩の力を抜いて臨む。
渡部と同じにソチ、平昌で2大会連続銀メダルを獲得したスノーボード、ハーフパイプの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)は、合宿先のアメリカからオンライン会見に出席した。
冒頭、取材する記者団を代表した質問者が、社名と名前を伝えて挨拶をすると、「はい、平野歩夢です」と会釈し丁寧に返したシーンがあった。落ち着いた様子に、自信、余裕が漂うように見えた。
半年前、21年東京五輪ではスケートボードとの「二刀流」に挑戦(14位)。日本では、橋本聖子、関ナツエ、大菅小百合=以上スピードスケートと自転車=、男子は青戸慎司=陸上短距離とボブスレー=に次いで、史上5人目の夏冬五輪出場を果たした。
金メダル、と何度も口にした渡部と違い、平野は会見中、何度質問を受けても「金メダル」と言わなかったのが印象的だった。
「この4年間通して、自分が調整してきたことを、全て出し切った上で、自分にしかない表現を見せられたらと思っている。それがいい結果につながればなと思う」
自分にしかない表現、とは、現時点では平野だけが試合で成功させている高難度の技、「トリプルコーク1440」(斜め軸に縦3回横4回転)を指すのか、それとも、夏冬出場をわずか半年で実現させたキャリアなのか、会見だけでは分からない。ただ「自分にしかない表現」とは、芸術家のような言葉の選び方で、「NO1」は当然ながら、そこへのアプローチもまた「オンリー1」であろうとする挑戦心の表れなのだろうか。
「(今大会で引退を表明したショーンホワイトと)またあの舞台でやり合えるのは楽しみ」と、最高峰での戦いを「やり合う」と独特な感性で表現した。
15歳で日本の冬季五輪史上最年少のメダリストになった平野には、今大会新たなモチベーションも生まれた。15歳の兄をテレビで応援していたという弟の海祝(かいしゅう、19=日大)も出場。オンライン会見といったなかば公の場でも、歩夢の話を聞かれると、いつも「兄ちゃんは……」と答える屈託のない明るさは、兄にもきっと、大きな力なのだろう。
1月21日には、トッププロが集結する「Xゲーム」(米コロラド州)で、歩夢が2位、海祝は3位と共に表彰台に。五輪で兄弟、姉妹が同一個人種目で同時に表彰台に立てば、日本の冬季五輪史上初の快挙となる。
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