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あの原発事故から、原告になるまで11年間の歳月を要した

[1月22日~1月28日]名護市長選、伊藤詩織さん控訴審判決、甲状腺がん提訴……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

基地問題を住民の判断にゆだねるのは「いじめ」だ

1月23日(日) 朝早い新幹線で福島へ。取材先の都合で、朝10時から市内の換気の良いコーヒーショップの2階を借り切って2時間あまりお話をうかがう。TさんとOさん。会いに来てよかった。とても話の中身が濃い。テーマが多すぎて、どのような視点から取材を進めるべきかに迷うくらいだ。情報公開請求はとても有力な武器になる。その後、信頼している地元テレビ局の記者と会って話をする。彼は地元で強烈な逆風を感じながら、とてもよく頑張っていると思う。

投開票日翌日の地元新聞より拡大名護市長選の投開票日翌日、1月24日付の地元紙=撮影・筆者
 15時過ぎの新幹線で、福島から東京に戻る。情報の整理。雑件の作業を終えた20時40分頃、沖縄・名護市長選挙の当選確実情報が出た。現職の渡具知武豊市長が再選された。

 4年前の選挙を現地で取材した時の記憶が甦ってきた。小泉進次郎氏という広告塔が2回にわたって選挙戦中に渡具知候補の応援に入って、地元は大変なお祭り騒ぎになっていた。名護の高校生がどっと繰り出していた。進次郎氏との2ショット写真をスマホで撮りまくっていた。

 それまで辺野古新基地建設反対を訴え市長を2期8年務めた稲嶺進氏が敗れ去った瞬間に立ち会うことになった。敗北が明らかになった稲嶺陣営の選挙事務所で、稲嶺氏の隣の席には、翁長雄志県知事が悲痛な表情で座っていた。ちからで押し倒す方法にはいろいろなやり口があるものだと思い知らされた。

 あれから4年。「どうせ辺野古の新基地建設工事は反対しても止まらないのであれば、自分たちの生活を豊かにしてくれればいい。コロナ禍もこの心情に追い風になった」。今後、マスコミでは、こういう手合いの解説が溢れかえるだろう。沖縄県に軍事基地(米軍、国連軍および自衛隊)を一方的に押しつけておいて、その可否を地元住民の地域選挙での判断にゆだねている構図全体が「いじめ」ではないのか。

 今回の選挙では、さらには南城市の市長選挙でも、オール沖縄推薦の瑞慶覧長敏氏が再選を果たせず、自公推薦の古謝景春前市長に破れ去った。この意味するところは小さくない。沖縄・選挙イヤーの幕開けはこのような結果となった。僕はと言えば、オミクロン感染の拡がりもあって、今回は現地入りを断念したが、行ってこの目でみておくべきだったか。忸怩たる思いだ。わかったようなことは言うまい。

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筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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