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虐待はどうして生じるのか?~背景にあるのは「助けて」と言えない社会

マルトリートメントを生む社会構造を変え、子どもの尊厳を尊重する社会につなげるには

小澤いぶき 児童精神科医、認定NPO法人PIECES 代表理事/Reframe Lab

マルトリートメントとは何か?

 「マルトリートメント」は、虐待とほぼ同義で使われる言葉ですが、日本語では「大人の子どもに対する不適切な養育や関わり」と訳されます。友田明美先生の著書及びインタビュー記事には以下のように書かれています。

 「子どものこころと身体の健全な成長・発達を阻む養育を全て含んだ呼称」であり、大人の側に意図があるか否かにかかわらず、また、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、それはマルトリートメントと言えます」(「 子どもの脳を傷つける親たち 」〈NHK 出版参照〉 / 「 PHP のびのび子育て」11月号より)

 また、WHO(世界保健機関)にも、マルトリートメントにはあらゆる種類の児童虐待及びネグレクトが含まれ、結果として、子どもの健康、生存、発達及び尊厳に実際的/潜在的な害がもたらされることとされています。(WHOのHPより)

◇参考

Child maltreatment is the abuse and neglect that occurs to children und
er 18 years of age.

It includes all types of physical and/or emotional ill-treatment,
sexual abuse, neglect, negligence and commercial or other exploitation,
which results in actual or potential harm to the child’s health, survival,
development or dignity in the context of a relationship of responsibility,
trust or power.

Exposure to intimate partner violence is also sometimes included
as a form of child maltreatment.

 つまりマルトリートメントとは、「児童虐待及びネグレクトを含む子どもの健やかな心身の発達及び尊厳を阻害するような養育及び関わり」と捉えられます。

 ここからは以前、新潟県新潟市で行われた第115回精神神経学会に参加した際に拝見した、福井大学子どもの心の発達研究センターの友田明美先生の発表を参考に考えていきます。(第115回精神神経学会「ACE(児童期逆境体験)に精神科臨床はどう向き合うか」、 福井大学子どもの心の発達研究センター 友田明美)

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筆者

小澤いぶき

小澤いぶき(おざわ・いぶき) 児童精神科医、認定NPO法人PIECES 代表理事/Reframe Lab

精神科医を経て、児童精神科医として複数の病院で勤務。トラウマ臨床、虐待臨床、発達障害臨床を専門として臨床に携わり、多数の自治体のアドバイザーを務める。人の想像力により、一人ひとりの尊厳が尊重される寛容な世界を目指し、認定NPO法人PIECESを運営している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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