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あさりの熊本県産偽装問題で、業者が求められる「国産」のブランディング

赤木智弘 フリーライター

 衝撃的な実態が明らかになった。

 味噌汁の具としてはもちろん、酒蒸しやバター焼き、炊き込みご飯にボンゴレなど、日本人が親しんでいる貝類の代表格「あさり」。そんなどこのスーパーでも売っている熊本県産あさりの大半が、外国産であるという疑惑が出ている。

 農林水産省による「広域小売店におけるあさりの産地表示の実態に関する調査結果について」という報告書によると、令和2(2020)年、1年間の熊本県産あさりの漁獲量は21トンであったのに対し、調査した令和3(2021)年10月から12月までの3カ月間の熊本県産の推計販売数量は2485トンであった。さらに言えば、令和2年の全国の国産あさりの漁獲量は4400トンであり、熊本県産の3カ月で2485トンという数字は、どう考えてもつじつまが合わない。

 そこであさりのDNAを分析したところ、熊本県産として販売されていた31点のうち、実に30点に外国産が混入している可能性が高いという結果となった。「熊本県産あさりのほとんどが外国産」という、驚くべき実態が明らかになったのである。量的に見れば「熊本県産に外国産が混入」ではなく「外国産に熊本県産が混入」と言っても差し支えないレベルの話だ。

 この問題は名古屋に本社を置くCBCテレビが2019年6月のドキュメンタリー番組で取り上げた事で知られるようになった。

天然の熊本県産アサリの保護に取り組んでいる網田漁協を視察する蒲島郁夫知事(中央)=2022年2月16日午後3時31分、熊本県宇土市長浜町拡大天然の熊本県産あさりの保護に取り組んでいる網田漁協を視察する蒲島郁夫知事(中央)=2022年2月16日、熊本県宇土市長浜町

 この後、農林水産省が調査し、その結果を受けて熊本県の蒲島郁夫知事は「水俣病は初動の遅れが被害を広げた」「食品の問題は早く手を打たないと手遅れになる」という強いメッセージを発し、2月8日から熊本県産あさりの出荷停止に踏み切った。「熊本県産」に毒性があるわけではないが、それでも県にとっても汚点である「水俣病」の名前を出さざるを得ないほどに大きな問題として認識したようだ。

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筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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