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[62]貧困パンデミックの2年、野戦病院となった支援現場から見た現状と課題

#都立公社病院の独法化ではなくコロナ医療の充実をもとめます

稲葉剛 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

拡大生活困窮者の支援団体「TENOHASI」の炊き出しと生活相談=2021年9月25日、東京都豊島区の東池袋中央公園
 コロナ禍の影響により、国内の貧困が拡大し始めて、まもなく2年が経とうとしています。

 「貧困パンデミック」とも言える状況の中、私たち生活困窮者支援団体の関係者は民間レベルでの支援活動を拡大すると同時に、政府・自治体に対して貧困対策の拡充を求め続けてきました。

 コロナ禍が生活困窮者支援の現場にもたらす影響は、当初、経済的な困窮に陥る人の増加という形で現れましたが、感染が拡大するにつれ、支援者が医療に関わる問題にも対応せざるをえない状況が広がりつつあります。

 東京都内の生活困窮者支援の現場から見た現状と課題をQ&A方式でまとめたので、ご一読ください。

拡大炊き出し会場では「世界の医療団」による医療相談も行われている=2021年12月31日、東京都豊島区

[Q]支援の現場に与えている影響は?

新型コロナウイルスの感染拡大が生活困窮者支援の現場に与えている影響について教えてください。

感染拡大と貧困拡大が一定程度連動、しわよせは働く人々に

A 東京のホームレス支援の現場では、コロナ禍の第1波が来た2020年春以降、「感染拡大と貧困拡大が一定程度、連動している」ような現象が見られます。

 感染が拡大し、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されるたび、飲食店に対して営業時間の短縮が要請される等、特に対人サービスの分野において経済活動を一定程度、縮小したり、止めたりせざるをえない状況が繰り返されてきました。その影響は、居酒屋のアルバイト店員のシフトが大幅に減らされたり、ジムやヨガのインストラクターの仕事がなくなったり、という形で、現場で働く人々にしわ寄せが行く構造があります。

食料支援を求める人々の深刻な実態

 各ホームレス支援団体が定期実施している食料支援の現場に来られる方の数は、第1波以降、ほぼ右肩上がりに増え続けてきましたが、特に第5波以降は、生活に困窮して住まいを失ってしまった方に加えて、家賃はかろうじて払ってはいるものの食費や生活費にまわすお金が足りないという方が支援を求めて来られる、という傾向が強まっています。

 第6波が拡大した今年1月下旬には、都内各地の食料支援の場に、一度に500~550人もの人が集まるという事態にまでなってしまいました。2月以降は若干、減少傾向にありますが、予断は許さない状況が続いています。

拡大炊き出しに長い列ができる=2021年7月24日、東京都豊島区

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困パンデミック』(明石書店)、『閉ざされた扉をこじ開ける』(朝日新書)、『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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