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ウクライナ侵略戦争で忘れ去られたロシアのドーピング疑惑

カミーラ・ワリエワ問題はIOCが当初から毅然として対応していれば防げた

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

 2月24日にロシアのウクライナ軍事侵略が始まって2週間以上が経過した。停戦交渉も進展がなく、心がずしんと重くなる映像、ニュースが毎日次々と報じられている。

 北京オリンピックで起きた、ロシアのカミーラ・ワリエワのドーピング陽性結果が世界のトップニュースだったことが、まるではるか昔のことのようだ。

北京五輪のフィギュアスケート女子フリーで4位い終わったカミラ・ワリエワ(ロシア)=2022年2月17日、北京・首都体育館拡大北京五輪のフィギュアスケート女子フリーの演技後、エテリ・トゥトベリーゼコーチ(左)から慰められるカミーラ・ワリエワ(ロシア)=2022年2月17日

 その無法国家ぶりをあらわにしたロシアに関して、今さらスポーツのドーピング違反を論じることなどもはや虚しく、無意味にすら思える。

 だが改めて考えてみることにより、今のロシアの現実というものも見えてくる。

 国連で採択された五輪休戦決議(北京冬季五輪の開幕7日前の1月28日からパラリンピック閉幕7日後の3月20日まで)に違反したロシアのウクライナ侵略で、IOC(国際オリンピック委員会)は各スポーツの国際連盟にロシアとベラルーシを国際大会から除外することを要請。ISU(国際スケート連盟)も、この2カ国の代表選手を期限未定で国際大会から締め出すことを決定した。

 通常の場合だったなら、独裁政治の責任をアスリートに問うのは酷だという意見も出ただろう。トリノ五輪男子シングル金メダルのエフゲニー・プルシェンコや、プーチン大統領の右腕ドミトリー・ペスコフ報道官の妻で元アイスダンス・トリノ五輪金メダリストのタチアナ・ナフカなどロシアのスケート関係者たちから、この処分に対して激しい非難が寄せられた。

 だが少なくともフィギュアスケートにおいては、ロシア人以外からこの処分に対する疑念の声は聞こえてこない。

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で、2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。ほかに『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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