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「宮本から君へ」助成金不交付訴訟で問われる「公益性」と裁判官の「主観」

後出しジャンケンによる芸文振の内定取り消しを追認した東京高裁判決

臺宏士 フリーランス・ライター

「公益性の観点から適当ではない」で不交付決定

 スターサンズの河村氏の説明によると、瀧氏の逮捕から芸文振の助成金の内定通知、不交付決定に至るまでの経緯はこうだ。

 芸文振は逮捕から2週間たった3月29日、スターサンズに助成金の内定通知を出す。同社は、芸文振が実施する文化庁の「文化芸術振興費補助金」(19年度)による助成事業に応募していた。劇映画にかかわる助成額は3億2400万円で、応募件数は66件あった(このうち24件が採択された)。

 芸文振の数人の担当者を交えた完成試写が行われたのは4月12日で、その際に芸文振側から瀧氏の出演シーンのカットを求める趣旨で同氏の出演シーンの編集や再撮の予定についての質問を受けた、という。

 これに対して、スターサンズ側は「(制作側としては)再編集、再撮の意見がないことを伝えた」という。河村氏は「『交付要綱』に、その時点では手続き上の不備を理由とする以外に『内定の取り消し』ができる明確な規定がなかったため、このような事実上の打診のようなものがあった」と感じたという(後述するが、芸文振はその後、「公益性の観点から不適当と認められる場合」に内定や交付決定を取り消すことができるよう助成金の交付要綱を改定した)。

 東京地裁(小野裕信裁判官)は6月18日の判決公判で、瀧氏の薬物使用について、常習的な犯行と認定。ただ、瀧氏が医師の指導に従って再犯防止のプログラムを受けていることや、所属事務所を解雇されたことで不利益を負ったことなどを考慮し、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の有罪判決を言い渡した。瀧氏は、7月2日までに控訴せず判決は確定した。

 スターサンズは、その10日後の6月28日に芸文振、文化庁の4人の担当者から口頭で助成金の不交付決定を告げられたという。その理由として

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筆者

臺宏士

臺宏士(だい・ひろし) フリーランス・ライター

毎日新聞記者をへて現在、メディア総合研究所の研究誌『放送レポート』編集委員。著書に『アベノメディアに抗う』『検証アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』『危ない住基ネット』『個人情報保護法の狙い』。共著に『エロスと「わいせつ」のあいだ 表現と規制の戦後攻防史』『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』など。 

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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