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ワーケーション最前線《上》コロナ禍で進化する働き方。仕事はリゾートの絶景に囲まれて

【15】人々の力を引き出し、地域も企業も元気にする旅のイノベーション

沓掛博光 旅行ジャーナリスト

拡大休暇村南伊豆の屋上には海を一望するリゾワテラスがある(休暇村南伊豆提供)

【休暇村南伊豆】白砂のビーチが目の前に。“贅沢な仕事場”

 この1月8日にリゾワテラスをオープンさせ、本格的にワーケーションサービスを始めた静岡県の「休暇村南伊豆」では、オミクロン株の感染拡大の中、「早くも1か月に5、6組のご利用がありました」(松田一毅営業課長)と関心を集めている。1泊の利用が大半だが、「仕事に集中できた」、「休憩の時、歩いて1分で海に行けたのは魅力。贅沢な仕事場といった感じ」、「できたら1週間ほど滞在したい」などの感想が寄せられている。

 過ごし方は、「チェックインの後、自室や海を一望する屋上のリゾワテラスなどで仕事を始め、息抜きに、今の時期なら日本の渚100選に選出された長さ1.2キロの弓ケ浜などを散策し、温泉や夕食を楽しんだ後も仕事を続け、2日目はチェックアウト後にラウンジなどで仕事をして帰る」というスタイルが一般的とか。

 館内には有料の会議室(収容人数80名や20名など)があり、マイクやスクリーン、ホワイトボードも用意されているのでオンライン会議などにも対応できる。1名利用の個室もあり、こちらは試験的に昨年5月からワーケーション専用で貸し出しており、現在までに15件ほどの利用があったという。どの休暇村も、館内はフリーWi-Fi、モバイル電源のレンタルは無料。

【休暇村瀬戸内東予】仕事と余暇の両立、2~5泊など滞在多様化

拡大緑の園地を前にしたリゾワテラスでワーケーション(休暇村瀬戸内東予提供)
 冬季でも温暖な瀬戸内海に面した「休暇村瀬戸内東予」では、2~3泊の利用が多いという。海を望むリゾワテラスや露天風呂があり、手軽に楽しめるリゾートである。他人の目を気にせず仕事ができるようにと、テラスには卵を半分に切ったような形の椅子が置かれ、「今のシーズンは、仕事半分に余暇半分で過ごされる方が多いですね」と徳増達朗営業課長。企業より個人単位の利用が多く、大阪から来た30代の男性は1人で5泊。テラスやラウンジでパソコンを使いながら仕事をし、合間に散策や温泉を楽しんでいたという。

ワーケーションはポストコロナでも利用される予感

 過ごし方を見てきた徳増課長は、ワーケーションはポストコロナでも利用されるのではないかと推測する。「仕事と遊びは別物と思われていましたが、リモートで仕事ができるようになったことをきっかけに、皆さんの受け止め方が変わってきたようです。職場を離れ、リゾートに来て仕事をし、ついでに余暇も楽しむことが自然のように思われてきましたね」と言う。

 仕事と余暇や遊びを両立させたリゾートでの滞在、あるいは職場を離れての働き方が、コロナ禍で新たに芽生えてきたのかも知れない。


筆者

沓掛博光

沓掛博光(くつかけ・ひろみつ) 旅行ジャーナリスト

1946年 東京生まれ。早稲田大学卒。旅行読売出版社で月刊誌「旅行読売」の企画・取材・執筆にたずさわり、国内外を巡る。1981年 には、「魅力のコートダジュール」で、フランス政府観光局よりフランス・ルポルタージュ賞受賞。情報版編集長、取締役編集部長兼月刊「旅行読売」編集長などを歴任し、2006年に退任。07年3月まで旅行読売出版社編集顧問。1996年より2016年2月までTBSラジオ「大沢悠里のゆうゆうワイド」旅キャスター。16年4月よりTBSラジオ「コンシェルジュ沓掛博光の旅しま専科」パーソナリィティ―に就任。19年2月より東京FM「ブルーオーシャン」で「しなの旅」旅キャスター。著書に「観光福祉論」(ミネルヴァ書房)など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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