メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

ウクライナ→東京→ベラルーシの移動で考えたこと

[3月10日~3月15日]ウクライナ大使館、『病める舞姫』、ミンスク……

金平茂紀 TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

ウクライナ大使にゼレンスキー演説の意見を求められる

3月11日(金) 午前、あしたのスタジオ出演のためのPCR検査を受ける。2日前の帰国の際に空港で受けたばかりなのだが。

 午前10時から日本メディア学会ジャーナリズム研究・教育部会の連続勉強会の打ち合わせをオンラインで。その後、西麻布のウクライナ大使館へ向かう。ウクライナ大使館は閑静な住宅街にあって、すでに入り口には今回の事態を受け、市民らからたくさんの花が手向けられていた。

ウクライナ大使館の玄関に手向けられた花拡大ウクライナ大使館の玄関に手向けられた花=東京・西麻布、撮影・筆者
同拡大同=撮影・筆者

 コルスンスキー大使は朝からメディアのインタビュー攻め状態にあって、僕が入室した時は、ちょうどロイター通信のインタビューが終わったばかりだった。サシの会話で本音を語り合いたいと思っていたが、チェルニフツィで見てきたことや、200万を超える人々がすでに国外に出ている状況を中心にウクライナ情勢について話し合っているうちに、大使の方から、ゼレンスキー大統領が日本国民に向けた演説を、日本の国会内で行う計画があると言ってきた。ライブになるか収録されたビデオメッセージになるかはまだ確定していないが、それが実現するかどうか、現在、岸田首相のオフィス(つまり官邸か)で検討中とのこと。その方がNHKやTBSやその他の放送局と一々個別にやらなくて済むでしょう、と。

 その場合、日本人にはどのようなテーマに触れた方がいいだろうか、と大使に意見を求められる。うーん。僕はちょっとだけ考えて、核兵器使用の問題と原子力発電所への軍事攻撃については、我々日本人にとっては他人事ではない強い関心があると思うと答えた。イギリスやカナダでは議会ですでにゼレンスキー大統領の演説が行われている。大変な反響があったとのことだ。きわめて異例のことだが、そういう場を提供する空気が不可避になりつつある。

 局に戻って14時46分を迎える。今日は東日本大震災から11年目の日に当たる。あれ以来、僕は毎年この日は被災地にいて取材をしていた。今年はそれが叶わなかった。時期をみて、今回は急遽キャンセルせざるを得なかった福島第一原発構内の取材と南三陸町には足を運ぶことにしよう、と思った。

サファリ・Pの『透き間』パンフレット拡大サファリ・Pの『透き間』パンフレット=撮影・筆者
 19時からアルバニアの作家イスマイル・カダレの『砕かれた四月』という小説から想を得た舞台作品『透き間』をみる。これは本当にみてよかった。サファリ・Pという演劇集団の作品だが、ウクライナでみた光景と、舞台上の展開が何か二重写しになったように共振する感覚に襲われたのだった。ポスト・トークがあったので、そのことを素直に伝えた。演出の山口茜さんと短く話をした。

 局に戻ると、遠藤・新田さんからキエフの素材が届いたという。よかった。ベラルーシ取材の準備を急遽立ち上げなければならない。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

金平茂紀

金平茂紀(かねひら・しげのり) TBS報道局記者、キャスター、ディレクター

TBS報道局記者・キャスター・ディレクター。1953年、北海道生まれ。東京大学文学部卒。1977年、TBSに入社、報道局社会部記者を経て、モスクワ支局長、「筑紫哲也NEWS23」担当デスク、ワシントン支局長、報道局長、アメリカ総局長、コロンビア大学客員研究員などを経て、2010年より「報道特集」キャスター。2004年、ボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『沖縄ワジワジー通信』(七つ森書館)、『抗うニュースキャスター』(かもがわ出版)、『漂流キャスター日誌』(七つ森書館)、『筑紫哲也『NEWS23』とその時代』(講談社)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

金平茂紀の記事

もっと見る